2003年05月14日(水)  女は強し。
「普通そんなことしないよ」
「普通って何よ!」
 
とすぐ女性は怒ります。普通って何よ! 誰が決めたのよ! って。そうやって不毛な口喧嘩の幕が上がるのです。で、喧嘩の内容は、普通って何よ! 誰が決めたのよ! とずっとそればかり。僕がついうっかり「普通はしない」ということを言ってしまったばかりに、すごい剣幕で責められるのです。その喧嘩をするに至った物事よりも「普通っていったい何?」に対して焦点が当てられるのです。
 
「普通って、ほら、一般的なものとか、常識とか」
「じゃあ一般的って何よ!」
「一般的って、ほら、10人いたら9人くらいは……」
「じゃあ何? そういうのって多数決なの!」
「いや、そういうわけじゃないよ。だいたいにおいて普通に感じるってことだよ」
「だから普通って何よ!」
 
ともう らちがあかない。らちがあかないので謝ろうと思う。ごめんなさい。
 
「ほらまたそうやってすぐ謝る!」
 
とにかくこういうことは彼女の納得のいくようにしなければいけない。単純に謝っては駄目だ。彼女の感情の波に上手く乗らなければいけない。はて。どうしたものか。よし。話の矛先を変えよう。
 
「ねぇ、この前読んでた本にとってもいいことが書いてあったんだ。えとね『三つのマッチを一つ一つ擦る夜のなか はじめは君の顔を一度きり見るため 次は君の目を見るため 最後のは君の唇を見るため 残りの暗闇は今の全てを思い出すため 君を抱きしめながら』ね、いい文章でしょ。だからもう帰れよ」
「なーーーんでよ!」
「ほら、キミが帰ってから、キミの顔とか目とか唇とか腹とか思い出すんだよ」
「腹は思い出さなくていいわよ!」
「ああそうかい」
 
僕の長所は安易に女性を怒らせることができるということです。逆に考えると怒られやすいという意味にも取れる。どっちだっていい。そんな気持ちのいいもんじゃないし。彼女は昨夜僕の部屋に泊まって、朝起きて、僕がいつまでも歯を磨かないで、ぼっさーっとテレビばかり見ているのが気に入らない様子で、次第にイライラが増していたようで、今日の不毛な口喧嘩が始まったというわけです。
 
「あぁ、腹減ったなぁ」
「その前に顔洗ってよ!」
「うん。洗う洗う。しかし腹が減ったね。何食べる?」
「何でもいいわよ!」
「じゃあカレーライス」
「普通朝からカレーなんて食べないわよ」
「ハハッ。普通って何よってさっきキミが言ったじゃないか」
「普通って朝からカレーなんて食べないってことよ!」
 
成る程。女は強し。

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