![]()
| 2003年04月29日(火) からたちの道ひとりで歩く。 |
| 不毛な交渉の末、昨夜ようやくクロネコの荷物が届いた。午後8時30分。普通の家庭ならば飯食って風呂入ってあぁだるい。明日も仕事だ。なんて言っている頃だろうけど、だるいのは明日だろ。明日が仕事だからだるいんだろ。見たまえこのダンボールの山。午後8時30分。寝る場所さえ、ないじゃないか。タバコも、どこかに紛れ込んでしまったではないか。無数のダンボールをかきわけてタバコを探す。あった。しかし、ライターがない。どこに行った。探す気も失せるぜ。あっ、そうだ。コンロ。コンロで火をつけましょう。電気コンロって使ったことないけど、使ってみましょう。電気コンロのスイッチを入れ、しばしタバコをくわえたまま顔を近付けても、顔ばかりが火照るばかりでいっこうにタバコに火はつかない。畜生。馬鹿にしやがって。どうしてヤカンの湯は沸くのにタバコに火がつかないんだ。畜生。ダンボール全部燃やしたろか。気が滅入る。 不満ばかり言ってもしょうがないので、火がついていないタバコをくわえたままダンボールを開け、部屋の整理にとりかかる。ダンボールに貼ってあるガムテープ。剥がし辛いなぁ。カッター欲しい。たしか引越しのときどれかのダンボールに入れたはず。どれだったかなぁ。ガムテープをいちいち丁寧に剥がしていてもきりがないので、ガムテープが貼ってあるダンボールの中心部分にパンチをくらわし、ガムテープが裂けたらそこからバリバリッと剥がす。手間がいいぜ。パンチパンチ。オレの拳はダンボール泣かせだぜ。畜生。ガラスの額が割れた。CDケースも割れた。 パソコンが入っていたダンボールにマジックで「台所、スリッパ等」などと書かれていたので、搬送作業の中でどういう扱いを受けたのか心配になったが、パソコンを接続していちいち動作確認してる暇もないので、スリッパなんて入っていないダンボールから捨て猫を抱きかかえるようにパソコンを取り出し、部屋の隅へ鎮座させる。引越しの際「パソコン等の機器は万が一故障しても責任を負えませんのでご注意下さい」と言われたが、マジックでスリッパ等と書くことはないだろうと思った。あと、小説がぎっしり入っているダンボールに「ビデオ」とこれまたマジックで殴り書きしてあって興醒めした。クロネコの人はこのダンボールを持って、畜生。ビデオ重ぇよとかブツブツ言いながら僕のことをエロエロ大魔王と思わなかっただろうか。そればかりが気になった。 時計を見る。午後11時。事態は全く進展していない。風呂にも入っていないし、まだライターさえ見つからない。さっきまで顔を見せていたタバコも再びダンボールの波に呑み込まれてしまった。1234ゴリーラー。と深夜のマンションで意味もなくダンボールを数える。ゴリラどころではない。階下に降りて缶コーヒーを買いに行く。ジョージアを買って戻ってきてもダンボールは減っていない。今気付いたが、晩飯もまだじゃないか。今気付いたくせに腹が減ってきた。北に向かえば、コンビニがあるかもしれない。北に向かう。歩めど歩めどコンビニは見えず、人影すらも見えない。ここで暴漢に襲われたらダンボールパンチをくらわしてやるぜ。と、居酒屋。ちょいと一杯。引越してきて、酒すらも呑んでいない。そこいらの酔っ払いと仲良くなって、同じテーブルで酒でも呑んで、それから引越し作業を手伝ってもらいたい。と、一人。いつまで経っても一人。誰も話し掛けてきてはくれない。ビールも冷たいがそれ以上に冷たいぜ埼玉。ビール2杯と焼き鳥とカツ揚げ食って帰る。とぼとぼ歩く。からたちの道ひとりで歩く。 |
| 翌日 / 目次 / 先日 |