2003年03月06日(木)  新人離れ。
僕は気が向いたり、経済的に切迫した状態になると自分で弁当を作る。今日は気が向いたのでお昼は自作の弁当。経済的にはまだ切迫していない。ウィンナーの賞味期限が迫っていたということと、冷凍庫を開ける度に許容量を越えた冷凍食品が落ちてきてウザいということ。簡単に肉と野菜を炒めて、サラダを作って、あまり好きではない悲劇的なチャップスパゲティー。弁当箱の空白を埋めるためだけに開発されたといっても過言ではないケッチャップスパゲティー。不憫だと思う。
 
「自分で作ってきたの?」
昼休み、隣で弁当を食べていた新人さんが話し掛けてくる。先週入ってきたばかりのホヤホヤの新人なのだが、指導係の僕にだけタメ語で話す。新人さんと言っても、それ以前に他の病院で働いていたということと、僕と同じ歳であるということと、僕よりたぶん頭が良いということ。新人さんの僕に対する潜在的な侮りが表面化してそれはやがてタメ語になって「今度私にも作ってきてよ!」なんておい、職場の指導係、ましてや主任に向かって弁当作ってきてとはどういうことか。言語道断とかではないのか。根本的に間違えているのではないのか。「だって美味しそうなんだもの」そう? そう? ヘヘ。明日作ってきてあげるね。
 
というわけで今日は新人さんの為に、弁当を作ってきた。男性から女性へ。主任から新人へという図式的にどう考えてもおかしいが、美味しいって言ってくれるんだし、なんだか綺麗だし、お洒落だしで、今後の展開を考えると差し当たり損でもないなという裏工作があるんだけど、差し当たり僕は4月で仕事を辞めるので、今後の展開はあまり楽観視できるものではない。むしろ新人のために弁当を作らざるを得なくなった状況というものを嘆くべきだ。憐れな男を愁嘆すべきだ。
 
「美味しーい!」
そうかい。へへ。美味しいかい。へへへ。ウィンナーの味付けが、一味、違うんだ。ただフライパンで焼けばいいってものじゃない。って、オカズの説明とか始めると、なんだか迷惑そうな顔をしだしたのでしょんぼり黙って新人さんの弁当を食べる様子を横目でちらちら観察する。「ご飯が少し、固いわね」なんて言われて素直にゴメンなさいと謝る。今度は柔らかめに作りますので。
 
「ありがとう。とっても美味しかった。明日から辞めるまで毎日作ってきてね。ハハハッ」
こういうのを「新人離れ」とか「規格外のルーキー」とか形容するのかもしれない。

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