2002年03月19日(火)  鳥目。
東京最後の夜。講義を終え、胸を張って雑踏の中を歩いていた。
「アメリカの文化と言語�掘廚僚�了試験が思いのほか上出来だったのだ。
遅刻しても居眠りしても教室間違えても、終わりよければ全て良しとした。
 
東京最後の夜。池女さんと食事。
今回の東京ライフは池女さんにお世話になりっぱなしだった。
食事中、気が利かない僕を叱らずに見守っていてくれる。
 
友人たちは気が利かないと、いつも僕を叱る。怖い。
 
最後まで、地理的に理解不能なこの池袋で、
目を閉じてでも歩けそうな感覚でスムーズに足を進める池女さん。
さすがに池袋のオンナを名乗っているだけある。
 
「このね、ほら、いっぱい人いるでしょ。次から次に湧いてくるでしょ。
だけど、池袋のこんな大勢の人の中で、自らを池袋のオンナって名乗ってる人は
池女さん1人なんだよ」
「そうだよね〜」
 
池袋駅の構内にいけふくろうという銅像がある。
去年の夏1週間。今回も1週間池袋駅を通って大学へ登校してたけど
そんな銅像があるなんて全然知らなかった。
 
「ほら、ここ」
 
池女さんが駅の地図を指す。ホントだ。地図の端の方にいけふくろうと書いてある。
「見に行こう。僕が連れてってあげる。池女さんは道順を教えなくていいよ。
1週間ここで生活してましたっていう証明をしてみせるよ」
 
僕が先頭を歩いて池女さんが僕の後ろを歩く。今まで見られなかった光景。
僕は胸を張って駅の構内を歩く。頭の中に先ほどの地図を叩き込み、
その地図の中を僕は歩く。
 
「・・・y氏」
 
なに?いけふくろうはもっと先だよ。
 
「・・・行き過ぎ」
 
とうとう最後まで僕の致命的な方向音痴は治らなかった。

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