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ジワリ ジワリ


ずっと前から
一緒にスタジオに入ってみたかった
太鼓叩きゴリと
俺から誘ってスタジオに入った。

ゴリとスタジオに入るのは
初めてだった。

ゴリは
俺がバンドでやってた時の
曲は知っているが
今の曲は知らない。

始めから、今日は
セッションするのが
目的ではなかった。

約1時間半ぶっ通しで

持ち唄を
普段一人で個人連で
やっているように
俺は唄って

ゴリも
まるで個人連のように
太鼓を叩き

エレアコとドラムだけの
爆音のスタジオの中
ほとんど
何も喋らず
ぶっ通しだった。

スタジオで喋った事と言えば
一曲終わるごとに
「次いっていい?」
ゴリ 
「いいよ いいよ」

俺はゴリに背を向け
ずっと、唄ってた。

一曲終わるごとに
ニタニタして
別に後ろを振り向かずに
「次いっていい?」
ゴリ
「いいよ いいよ」

爆音中
時々 背中越しに
ゴリの雄叫びが聞こえ
俺も雄叫ぶ

アコギをガリガリかき鳴らす。
静かに弾く。
激しく弾く。

最後の曲を
唄い終わって
2人でスタジオを出た。

お互い、今日のスタジオが
どうだったか口を開かないまま
会計を済ました。

エレ−ベータ−の中でも
スタジオの話はしないまま。

外に出た。

雨が降ってた。

2人ほぼ同時に
「で」と言う

そして
「どうだった?」

ほぼ同時に
2人が言う。
「すっげ〜楽しかった。」

いや、実際
楽しかった。
自己満足では無かった。
ジャンルじゃ無かった。
俺が感じるに
劇だった。
絵になった。
感情だった。



「ゴリは叩きながら
俺の曲気に入ってくれているかな〜
なんてそんな事気にしちゃってたんだけどね
やっぱり」

ゴリ
「いや ありだと思う」
「詩が解れば、もっと叩き方変わって来ると思う」

5月から
徐々にゴリの都合さえあえば
スタジオに一緒に入って
今日の爆音のような
何とも表現しがたい
「呼吸」「高鳴り」「雄叫び」「静と動」
「マイナス×マイナス=プラス」
「直感的刺激」「スピード」「暗闇」
「打破」「破壊」「穏やか」「無言のユーモア」

そんな音が
ジワリジワリと大塚駅の「オレンジ」
と言うスタジオで準備が始まる。

狂ったサックスが入るのも面白い
狂気のピアノ、悲鳴のバイオリン
ぶっといベースが入ってもいい

LIVEに向けてでもなく
バンドを組む!!って
ものでも無さそうで
これは、音楽の位置。俺の場合。

とにかく
言葉で表現出来ない事が
無秩序の秩序の中
2人はとても、
おかしな共通点があった。

ジワリ ジワリ
大塚駅のスタジオ「オレンジ」

ジワリ ジワリ






















2003年04月12日(土)

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