エンドレス・ワイヤー - 2006年11月14日(火) ザ・フーの新作『エンドレス・ワイヤー』を聴いた。 デビュー42周年、オリジナル楽曲だけの アルバムという意味では24年ぶりの新作となる。 先行シングル『ワイヤー&グラス』を聴いていたので予想はできたが、 収録曲のほとんどがピートの自宅スタジオで収録されており、 かつ半数の楽曲が打ち込みドラムのためか、サウンドはかなりジェントル。 はじめに聴いたとき、ピートのデモテープ集 『ライフハウス・クロニクル』を思い出したほどで、 本作もロジャー・ダルドリー(Vo)が歌うピート・タウンゼント(G)の ソロアルバムといった印象だ。 改めてザ・フーというバンドの核がジョン・エントウィッスル(b)と キース・ムーン(Dr)のリズム隊であったことがよくわかる。 だけど、『トミー』あたりを聴けばわかるように、 コンセプトアルバムを作るときのフーはサウンドが平坦になりがちだ。 今回の『エンドレス・ワイヤー』に至っては、 意図的に大人しいサウンドに仕上げている可能性すらある。 何せピートは、ipodユーザーにイヤホンで音楽を聴くと難聴になる、 と警告しているからね。 http://www.barks.jp/news/?id=1000016946 それでも『エンドレス・ワイヤー』を聴いていると、 なんだかうれしくなってしまうのだ。 『トミー』『ライフハウス』『四重人格』に続く、 ロックオペラだというのも理由のひとつだが、 一番感銘を受けたのが歌詞の端々から透けてくる“青さ”だ。 「僕らには強さが足りない。 若さが足りない。 孤独感が足りない。 冷たさが足りない。 精神的にまだまだ大人になりきれていない。 恋をするにはね…」 (「マイク・ポストのテーマ」より) 60歳過ぎのジジイが何を言ってんだか!って感じだが、 この年で内向的な童貞性を発揮できるというのは素晴らしい。 ピートの中には、いまだに『トミー』の主人公トミーや 『四重人格』のジミーが息づいている。 それがなんだかうれしいのだ。 あとこの辺りにもグッと来た。 「人間なんてちっぽけな結晶でしかない。 天から落ちてきた雪の結晶みたいに 少しずつ街並みを飾っていく」 (「フラグメンツ・オブ・フラグメンツ」より) ...
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