エレクトロワールド〜Perfumeと手塚治虫〜 - 2006年06月01日(木) 僕らの未来はどこへ行ったんだろう。 ドラえもんや大阪万博で描かれたようなバラ色の未来。 『アキラ』『ニューロマンサー』『ブレードランナー』で見たデカダンな未来。 その全部が、すでに過去のものといった印象がある。 「未来が懐かしい」って言ってたのは誰だっけ? ……という前フリで、またもやアイドルユニットPerfumeの話です。 しかも今回、けっこうマジメ。 メジャーデビュー後のPerfumeのコンセプトは、 往年のテクノポップを現代的にトレースすることだった。 曲やアレンジがそれ風であるのはもちろんだが、 歌詞の端々から浮かび上がってくるSF的情景も肝のひとつ。 2ndシングル「コンピューターシティ」はその意味で完璧だった。 「完璧な計算で造られた楽園で ひとつだけ うそじゃない 愛してる」 「どうして、ねえ、コンピューター こんなに苦しいの?」 「絶対故障だ てゆうかありえない 僕が君の言葉で悩むはずはない」 歌詞に登場する主人公は電脳都市に生きる人工知能ロボットだ。 共感し合える誰かと出会い、恋に落ちた彼。 しかし彼のプログラムの中には恋愛という概念がないため、 苦悩するしかない−−−。 「ロボットの恋愛」というテーマは往年のSFを知る者にとって、 うれしい既視感だったわけだが、Perfumeはさらに前進する。 まもなく発売の3rdシングル「エレクトロ・ワールド」で 前作を上回る世界観を提示してきたのだ。 「この道を走り進み続けた 地図に書いてあるはずの街が見当たらない 振り返るとそこに見えていた景色が消えた この世界、僕が最後で最後だ」 「エレクトロ・ワールド。 地面が震えて砕けた。空の太陽が落ちる。 ボクの手にひらりと」 「この世界のスイッチ 押したのは誰なの? ああ、もうすぐ消える」 SF的な「世界の終わり」が描かれていたのである。 それは、単なるカタストロフィーではない。 主人公は本当のことに気づいてしまったのだ。 自分が住んでいた電脳世界は、すべて幻だった、 恋も苦悩も、何者かに見せられていた幻影に過ぎなかったと。 そして彼は反芻する。 「見えるもの全てが、触れるもの全てが、 リアリティがないけど、僕は確かにいるよ」 すべてが終わったが故に我有り。 夢から覚めた主人公は、己の実存にはじめて気づくのであった。 「エレクトロ・ワールド」のカップリング「wonder2」は シンセサーザーの反復音が優しく響く楽曲だが、 そのどこかぽつねんとした世界は、過去の思い出を紡ぎ、 懐かしむ主人公の姿を想像させる。 「あの日止まった時計が また動き始めたら 幸せな物語 永遠だよ」 ロボットの恋愛。世界の終局。終わった夢。 そして「ワンダー3」ではなく、「wonder2」。 Perfumeの歌詞から透けてくるのは、手塚治虫の世界だ。 久々に『火の鳥』の未来編、復活編を読みたくなった。 http://www.amuse.co.jp/perfume/ ...
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