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2004年11月04日(木)
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70 |
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今朝、起きて窓を開けたら聞こえて来た声。
「そう。小学校一年生と二年生で、下の子は?」 「3歳なの。おじいちゃんは家にいるのね?」 「じゃぁね〜」
中年の女性の声でしたな。間に子供が答えてた模様。 なんとなくだけど・・・興味本位で聞いた通りすがりのオバチャンっつーより福祉課とか?そんなお役所的な雰囲気を感じたのは私の気のせいだろうか。 お隣にいる例のお子様たちの年齢がこれでハッキリした朝であった。
さて。 11月2日は父上の誕生日ということで、昨日墓参りに行ってきた。 お隣さんが毎日拭いてくれてるだけあって、落ち葉がある以外は綺麗なお墓。 少しだけ枯れた花を取り替えようと思ったら、でかいカマキリ君。 そういやぁ、母上もこの間墓参りに来た時に車にカマキリ君が乗っかっていたそうだ。 カマキリ君は走り出しても落ちないまま、母上と共にドライブしておったと。 母上曰く、「ちゃんと首を動かして落ちないように体の向き変えてたのよねぇ」だそうで。なかなか賢いのだ。
そんな賢いカマキリ君だが、大きな白い枯れだした菊に乗っかってるので困った。 ヘタに手を出してカマでやられるのは怖いので、ホウキやら花のクキやら差し出して「ほれ、乗っかれ」と誘導を試みた。 しかしカマキリ君は、面倒そうにカマをちょっと動かすのみ。 虫なのに人を怖がらないどころか差し出された物体に危機感も感じないらしい。 結局、ちょっとだけ退いてくれたので菊の花ごと取り出して草むらに放置。 しばらくすると、これまた凄くかったるそうに歩いて消えた。
大人になって滅多に見なくなったカマキリなのだが、父上が亡くなって以降たびたび目にするようになった。 父上が亡くなった翌朝、一人母上の部屋で眠って目を覚ますとカーテンレールから私を見下ろしていたカマキリ。 実家の庭でOさんが持ってきたメダカを見下ろしていたカマキリ。 先日我家に入ってきたカマキリ。御墓の花に何回かに一回は必ずいるカマキリ。 カマキリ登場回数がめっきり増えてるからと言って、それが父上だとは言わないが。
父上は70歳の誕生日を迎えた。 お墓で「おめでとう」を一人で言う3回目の誕生日だ。
前から何度か書いているけれど、せめて父上が70歳になっていたら納得できるかもしれないと思っていた。 その事について自分に「どうよ?」と聞いてみたけど、どうもこうもなく。 自分が誕生日を迎えた翌日から 「一つオバチャンだ」 という自覚が出ないのと同様、何も急に変わることなど無い。
大体、70歳っていう世間一般的にはおじいちゃんな父上が想像できない。 いつだったか、「おじじ、爺さんの匂いがするぞ」と言ったことがある。 耳の遠い父上には聞こえずに、母上が「おじいちゃんの匂いだってよ」と父上に伝えた。 父上は「こいつ、また何か言ってやがる」みたいな表情で無言だったかと。
っていうか。 父上が70歳になったということよりも、自分の歳に面食らってる感じ。 4年経っても父上がいないこと以外、生活に大きな変化は何も無い。 住処も一緒。仕事も一緒。独り身っつーのも変わらない。 姿形に関して言えば、66歳で父上の姿は止まっている。 だけど悲しいかな。私の姿形には、それなりの歳が出てきた。 それが現実なのだ。父上は現実じゃないのだ。 私の中で父上の歳は増えていくけど。 現実の父上は66歳で永遠に止まっちまってるっつーことか。
そうか。そういう事なのか。
所詮、想像もできない70歳の父上で納得するのは無理なのだ。 問題は父上の年齢じゃないんだ。 じゃぁ考え方を変えよう。 私が40歳になったら、父上がいないことを納得できるかもしれん。
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