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2003年01月15日(水)

味見

うむ。
取り合えず、仕事の波は引かないが大波は超えた感がある。
風邪ひきの我姉妹1号がADSLで感謝感謝。

そして、二日酔いもようやく良くなったようだ。
そりゃそうだ。月曜に飲んだ酒が今日も残っていたら、それは3日酔いだしな。
いやぁ、飲みましたよ一昨日は。っても、生中5-6杯かしらね?
3杯目の途中でお相手が先に帰ったもんだから、調子良くなってね。
ついでに、つまみに馬刺しで生ニンニク大量摂取したもんだから胃がやられて。
昨日はほんと、仕事があんなに忙しく無けりゃ、生きる屍だったでしょう。

と、そのいつも行く焼き鳥屋さんは、常連客ばかりなので一人残っても飲めるのだ。
だからと言って、奥ゆかしい私は一人で飲みに行く勇気は無いのだけど。

そこで、よく会う夫婦が居る。
歳が離れた夫婦だそうで、奥さんが若く、最初の頃は、てっきり親子だと勘違いしていた。
飲兵衛の旦那と、天然ボケの妻。まるで、私の両親を彷彿とさせる夫婦だ。
一昨日は、その夫婦の隣で呑んでいた。
飲兵衛旦那は、それはそれは下らないダジャレも交える面白い人なのだ。
ただ、その連発して出てくるシャレを、奥様である天然妻は反応しない。
いや、無視している訳じゃなく、その意味を咄嗟に受けて突っ込む事が出来ないらしいのだ。

その隣で、私とお相手はいつもの如く、お相手のボケが終らない内に私が突っ込むという体制をとっていた。
狭い店内ゆえ、それらの会話は人々に全て丸聞こえ。
もういい加減に酔ったお相手が、並々日本酒が注がれたコップを持たずに口を近づけ、チュ〜〜〜〜っと呑む様を見た私が思わず

「スズメみたいな呑み方するなよっ」

と言っちまった時にゃ、何故か大爆笑の渦で皆に絶賛されてしまった。

呑んでる時に、下らない愚痴を言うのもお相手のクセだ。
一昨日も、肩が痛いと私が来る前にさんざん言ったらしい。
そして、私に

「これ、脱臼だってオカンに言われたよ」

と報告をしてきた。オカンというのは、やはり常連の気の良いオバちゃんの事だ。
それを聞いて、私は毎度の事なので「病院行けば?」と流そうとすると、例の飲兵衛旦那が言い出した。

「電車に乗ったら治ったよ〜っ なんてなっ」

一瞬、戸惑ったが、私はすぐにピンときて笑った。
ところがだ。そのすぐ隣に居る天然奥様も、お相手も、素知らぬ顔をしている。そこで

「わかったわかった。小田急ねっ!

と私は言ったのだが、それでも二人は気付かぬ様子。
そこで、気付かれた事に気を良くした飲兵衛旦那が調子よく

おぅっだっきゅぅ〜っなんてなっ

と言って初めて、やっと二人は理解を示した。
この二人。全く意味を理解し様とも思わずに、すっかりこのダジャレを流してしまったらしい。
飲兵衛旦那の愚痴は、どうやらこの辺にあるらしく、いつも天然奥様が気が利かないと怒っている。

天然奥様は、ともかくマイペースだそうで。
寝たら起きない。起きないから、後から呑んで帰ると、鍵を持たない飲兵衛旦那は家の前で寒さに凍えそうになる。
飲兵衛ゆえ、カーペットの上で眠ってしまう事をしばしばで。奥様が起こしても起きない。
起きないので、奥様は先に御就寝。
寝る前の火の用心などをキッチリする奥様ゆえ、カーペットの電気も消して寝る。
そして、あまりの寒さに飲兵衛旦那の目が覚めるのだそうな。

ある時など。呑んでも湯船に使って風呂に入る飲兵衛旦那に生命の危機を覚える事件が起きた。

名づけて風呂桶が棺桶(になりそうだった)事件

酔って風呂に浸かっていた飲兵衛旦那は、そのまま眠ってしまったそうだ。
それだけでも、想像だけで非常に危険だ。溺れる可能性がある。
しかし、運が良い事に、彼は溺れなかった。
それは何故かと言うと、風呂桶のお湯が空になってたのだそうだ。
飲兵衛旦那があまりの寒さに目を覚ますと、彼は空っぽの湯船の中に居た。
どうやら、眠っていて足で栓を抜いたらしい。
それが幸いしたのか、それとも災いしたのかは分からないが、ともかく彼は溺死は少なくともしなくて済んだ。
ただ、一歩間違えば、凍死の可能性があったと。

風呂に入ってから、お湯がすっかり抜けてカラカラになり、彼の目が覚めるまで、かなりの時間が経過していたものと想像される。
しかし、その間、奥さんは一度も見に来なかった。それどころか、寒さに震えて風呂から出ても、奥さんは目を覚ましてくれなかったと。
ほんの少しだが、私は飲兵衛旦那に同情をしたくなってしまったが。

それを聞いた天然奥様が反撃を開始した。
どうやら、一昨日の前の晩も飲兵衛旦那はカーペットで寝たらしい。
途中、奥さんが起こしたらしいが、起きなかったと主張なさる。
その苦労は私も分かる。父上にしろお相手にしろ、そういう酔っ払いの所構わぬ寝癖は、起こすのが大変なのだ。
ところが、これにも飲兵衛旦那には、旦那なりの主張があった。

食うのか起こすのか、どっちなんだっ!

っつ〜のが、彼の言い分だ。
どうやら、天然奥様は「起きて」と一回旦那を揺らし、そばにあったテーブルから野沢菜を口にぽいっと入れたらしい。
そして、旦那の耳にはそれが
「起きてよクチャクチャ起きてってクチャクチャ
に聞こえ、腹が立って、そのまま起きなかったとのことだ。
思わず私は、そこに酔っ払いの怖さを感じた。
酔っ払いは、酔っているからこそ、妙な所に神経過敏で何に反応するか分からないから怖いものだ。

この飲兵衛旦那は、私のようにすぐさま突っ込みをしてくれる相手が理想だと言う。
こう言われると、大概の奥様は嫌な気分になるだろうが、さすがそこは天然奥様だ。
「あるひさんだと、ポンポンって会話が行くけど、私とだとポンで、シーーーンだもんねぇ。」
と暢気に感心なさる。
私とお相手の会話を横で聞いては、二人で感嘆符を付けてくださるのだ。

でも、私は父上と母上を見ていて分かっているのだ。
今では、この奥様の天然さを愚痴ってはいるが、結局の所その天然さが、飲兵衛旦那には可愛くて仕方が無いんだろうと思う。
それを彷彿とさせる感じが、言葉の端はしに滲んでいるのだ。

一昨日も、歳が離れてるので、旦那に保険を沢山掛けておけと周りに言われていた。
そこで何故か、死ぬのを待たずに殺しちゃえという物騒な話になっていき、皆が皆、方法を考え始めた。
全く持って、酔っ払いの集団というのは怖いものだ。
そこで上がってきたのは「砒素」だ。酒に混ぜれば分からないと、口々に皆が勧めた。
何やら、天然奥様もノリノリになってきた。
そこで、飲兵衛旦那が心配そうに言い出した。


「お前、味見するなよっ」


天然奥様は天然故、旦那に砒素入り酒を出す前に味見しちゃいそうだっつ〜話だ。
「俺が飲む前に、こいつが味見してコロっといっちゃったら困る」
この言葉に、私は愛を感じたね。
それを聞いて天然奥様も横で、「(味見)しちゃいそう〜」と言ってコロコロ笑っておられた。

いやぁ〜。素晴らしい。

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