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2002年11月11日(月)
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フック船長 |
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歯医者に行って来た。 今は、比較的気楽な気分で歯医者に通っていられる。 なぜかと申せば、神経が無い歯の根の治療だからだ。
どの歯かと言うと、右の下の糸切り歯の後ろになるのだと思う。 そう、平ったい歯から臼上の歯になる途中の形の歯だ。半端なヤツだ。 居る位置も半端なせいで、ちゃんと磨かれない事が多い不憫なヤツだ。 前に書いたかどうか記憶が定かじゃないので、同じ事を書くかもしれないが。 実はこの歯。もう、6年ぐらい前かもしれない。治療した歯だったのだ。 その際に、とても親切で優しい先生が、なるだけ本来の歯を残してはくれていたが、1/3は銀歯になっていた。
ある日、その半端な歯の部分に物が挟まっている感じがして、ムキになって楊枝でクリクリとっていた。 すると、一気に詰まっていたものがとれて、見事なスッキリ感。 歯にもやしが挟まって取れた時のような、便秘が出てスッキリしたような、妊婦が子供を産んですっぽんって・・・ それは知らないけど、とにかく「あ〜〜っすっきりぃ〜〜っ」と声に出したいくらいの気分だった。
そりゃそうだ。その開放感は当然だった。長年詰まっていたものが、取れたんだから。 歯がポッキリ折れて取れたんだからっ(号泣)
どこまでも、不憫な歯である。 そんな訳で、長年嫌がっていた歯医者に通うことを決心する事になったのである。 ところが。夏ごろになって、急激に仕事が忙しくなり、ついでに夏バテだかもあって体調が思わしくなくなり、その半端ものの根っこだけ残った治療をしてる途中で歯医者を中断していた。 そして、ある日。 またもや、「や〜〜〜んっ!スッキリしたでないかいなっ」感を味わったのである。
そう。 今度は、根の治療をして詰め詰めしていた仮詰めのものを、またもや楊枝でポコンと取ってしまったのだ。 それから数日間。歯医者の予約がとれるまで、私の口の中は薬品の味で一杯だった。 詰め詰めされてた脱脂綿だかなんだかが、徐々に溶けるという現象に悩まされた。
あれから今日は二回目の治療の日だった。 治療自体は痛くは無いのだが、なんせ、神経が無いとは言っても歯の根っこに金属をいれて、何やらクリクリギリギリされる。 もう、鳥肌が止まらないくらい、不快なものだ。 その治療を始める時に、必ずあるものが口に引っ掛けられるのだ。 そいつは私の空けた口の左側に、まるでハンガーをかけるかのように、徐に引っ掛けられる。 引っ掛けられたまま、治療が終るまで外してもらえない。 吸い取るバキュームかと思いきや、途中で活躍するシーンも無い。
横になっている私は、その代物がどんな形状であるかを確認したことが無いし、ましてや「それ、何ですか?」と聞くことも出来ない。 そいつが引っ掛けられると、金属のひんやり感がする。 最初は、「まるで釣られる魚になった気分だな。」などと思っていた。 でも、痛くは無い。釣り針だったら、さぞかし痛いことだろうと魚を思いやる。
そりゃぁ、歯医者の人はそんな物が引っかかってる患者を見慣れているかもしれない。 でも、想像してみたら、なんてマヌケな姿なんだろう? 人間が口をパカー開けて、フックをかけられている姿・・・ まるで、 ピーターパンの『フック船長』が口からぶら下ってるみたいじゃないの?
そう思ったら、ちっと可笑しく楽しくなった。 でも、よくよく考えたら、ますますマヌケで悲しくなる自分も居た。
そんなフック船長がぶら下った私に、歯医者さんが言った。
「ちょっと響きますよ。」
ちょっとなら、別にいいやと構えなかった。現に、ちょっとだったから。 次に、またもや歯医者さんは言った。
「今度は詰め物しますからね。痛くて我慢できなかったら左手上げてください」
この言葉で、一瞬何をされるのか恐怖が走った。 でも、神経が無い歯だ。大したことではないだろうと鷹を括っていた。 次に歯医者さんが武器を持って口に近づいてきた所で、助手の人が言った。
「我慢してください。我慢してください。」
二度も言われた。 我慢してください。前置きをそんなにされたら、余計に怖くなるっつーに。 これは、確実に痛くなりますよ予告では無いかっ! 思わず、恐怖で口が勝手に閉じようとしたらしい。 が、それを「フック船長」の重みが「あんた、口動いたから」と教えてくれた。
途中でも、先生が「大丈夫ですか?」と聞く。 聞かれると「本当は痛いはずなの?」と怖くなる。 大体、聞かれたって返事は出来ない。声をだしたら治療の液体を飲んじまうし。 首を振ったら、先生の手の武器で他の場所を怪我しちまうかもしれないし。 仕方なく、小さくかすかに頷くと安心したのか、先生の武器に一気にぐぐっと力が入った。
イ゛デェェェッェェ
思わず、私の口から「ガゴッ」という意味不明な音が出た。 痛かったよ。確かに、予告通り痛かったよ。これを教えてくれてたんだね?先生。
実は、今日こそは「フック船長」の正体を見てやろうと心に決めていた。 だけど、治療が終った私は痛さの為に放心状態であり、レントゲンを撮るというので忘れてしまったのだ。
次回は、また一週間後。今度はやっと型を取るだけらしいので、楽勝のはずだ。 次こそは、フック船長の正体を確認したいと思う。
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