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■ ベジャール&ドン
かなり久しぶりに【BEJART IMPRESSIONS】(モーリス・ベジャール作品集)のビデオを観た。
ダイスキなダイスキなダイダイダアーイスキな(しつこい)、JORGE DONN(ジョルジュ・ドン)の踊りが観たくなったのだ。 もうビデオテープが伸びきってしまうほど何度もみたテープをひっぱりだして、正座してじっと観ていた。
冒頭に若きベジャールが語るのだ。
『言葉はあざむき、心は裏切るが、 肉体は常に真実を語る。』
この言葉に二十歳そこそこの私はどれだけ感銘をうけたことか。今でも鳥肌がたつほどだ。
この作品集は私が生まれた頃の作品から70年代、80年代の作品が、当時のエピソードやダンサーのインタビューなどで 紹介されコラージュのように次々と展開する。
ベジャール黄金期を代表するダンサー、ジョルジュ・ドン。 映画「愛と哀しみのボレロ」でのボレロで有名になった。 ライオンのような容姿。けっしてプリンスチャーミングではない身体。 官能的でオーラがあって、身体のすみからすみまで語る、でも押し付けがましくなくて神々しい動き。
私がこのビデオのなかで一番好きなシーンが、稽古場での振り付けのシーン。 ベジャールとドンの二人だけしか居ない稽古場に静かに マーラーの交響曲第5番第4楽章【アダージェット】が流れ、 指の動きを丁寧に振付けるシーン。顔の表情を振り移すシーン。 振付師の精神を、藝術を、すぐ側で体現するダンサー。 もう、ため息しかでない。 ほんとうに素晴らしい。
やっぱり今日も口をぽっかり開け、呆けた顔で画面の前で正座している私が居る。 今の私の身体に【アダージェット】が優しく溶け込んで、
「あ。『ヴェニスに死す』もみたくなっちゃった・・・・」と、心の中でつぶやくのであった。
あぁ。なんて贅沢な時間・・・。うっとり。
2004年05月25日(火)
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