*ブルーノイズ*
aoi

初日 最新 目次 MAIL
・・・ *hp* ・・ *bbs* ・・・ *plof.* ・・・



 わすれられない戒。8
+++
ココのあらまし説明をつけてみました。
初めての方・概要を知りたい方などは、
>>コチラからどうぞ。
+++





*****
その日は、
前日の土砂降りの雨が
嘘のように、
澄んだ空と、まぶしい光にてらされた、
キレイな、キレイな朝だった。


指定された時間の少しまえに、
アタシは病院の入り口にいた。

『ついていくよ』

という、相手を断ったくせに、
声がききたくて。
携帯電話を片手に握り締めていた。

だけど、
発信ボタンは、おせない。


『いってくるね。』


結局、
六文字の言葉を送信して、
アタシは病院のなかに入った。



キレイな室内。



まだ新しそうな、
キレイなビルの一角。

受付で紹介状と同意書を提出して、
すわりごこちのいい、
ほどよい硬さのソファーに腰掛ける。

まだ、
週の中間。平日の診察前なのに、
もう、きている人もいる。

並べられた雑誌を手にとって、
街のカフェ情報を見る。
あぁ、おいしそうだなぁ。
いつか、いってみたいなぁ。
なんて、
不自然に思考を他に走らせる。


ね、本当に、オロシテシマウんだね。。。。。


しばらくして、名前を呼ばれる。
少し離れたところで、
問診をして、
そして、お金をはらった。

一年。かけて、ためていた、貯金。

毎月、ほんのすこしだけど、
ためてたお金。
保険のきかないこの手術は、すべて実費だ。
金額の問題ではないけれど。
でも、
本当は、もっと高いって思っていた。
週十万くらい、って。

病院にもよるのかな?

などと考えながら、お金を払う。
でも、決して安くはない。
だけど、
命の代金なら、
これほど安いものはない。
なんだか、皮肉だ。
高い金額をはらいたいわけではないけれど、
この命は、これだけの価値なんですよ、と
少しいわれてるみたいで、悲しかった。
でも、その悲しさも、自分への罰のようだ。


待合で、またまっていると、
後ろのほうに、カップルが座ってきた。
会話なんかきこえないけれど、
なんとなく、雰囲気ですぐわかった。



あぁ、この人も、「同じ」だ。




なんでだろう?
本当に、すぐわかった。
そんな会話を、していたわけでもないのに。


幸せそうな、妊婦さんも待っている待合。
同じ空間に、
育むものと、途絶えさせるものが同席してるなんて。


まぶしくて、
顔があげられない。

雑誌を見ているだけで、
文字をおっているだけで、

読んでいるのに、
思考の上のほうでとまっている。
そんな感じだった。


彼氏と一緒に来院してる、
同じ事をする人。

アタシは、ひとり。

きてくれる。
そういってくれたことだけでも、嬉しかった。
正直一緒にきてほしいきもした。

だって、

怖いから。







↑エンピツ投票ボタン

My追加



>>つづく・・・・




2004年02月17日(火)
初日 最新 目次 MAIL
++ご感想などどうぞ++
name; mail;
message;



My追加