窓のそと(Diary by 久野那美)
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2008年08月01日(金) |
泣いてないで探しに行けよ。 |
私はあかおにさんが嫌いだ。 「泣いた赤鬼」(浜田廣介作)の主人公のあかおにさんのことだ。 なんにもしてないくせにちゃっかり主人公におさまってるところが大嫌いだ。
何故この物語はここで終わるのか??
いまや、あかおにさんには、あおおにさんの名誉を回復することができるはずなのだ。彼が得た幸せな環境をふたりで共有することもできるはずなのだ。 それができるのはあかおにさんだけなのだ。 あかおにさんがしなければ、他の誰にもできないのだ。
なんにもしないで最後まで泣くな。 「親友を失ったかわいそうな自分のために」泣くな。 村の人にちゃんと説明しろ、と思う。 あかおにさんの話を、村の人はきっと聞いてくれる。 あおおにさんがそうしてくれたから。 もし聞いてもらえなかったら聞いてくれるようになるまで自分自身で信頼を築けよ、と思う。聞いてもらえるまで説明しろよ、と思う。
あおおにさんにもらったものをなぜ独り占めするのか。 ぐずぐずうだうだしてるだけの彼一人では絶対に得られなかった幸せを、なぜ、あおおにさんに還元しようと思わないのか? 自分だけにできることがはっきりとあるのに、なぜ、無力さを装って最後まで泣いてるのか。
何もかも失ったのは君じゃなくてあおおにさんだ。 かけがえのない親友の好意をなぜ、どこまでも自分の人生の脇役に利用するのか。
こんなおには嫌いだ。
泣いてないで、おいしいお茶とおいしいお菓子をもって、早くあおおにさんを探しに行け、と思う。
この物語が終わる前に。
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