窓のそと(Diary by 久野那美)
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2006年04月22日(土) |
「拍手をしたのはミッフィーの演奏が上手だったから。」 |
大阪大丸百貨店へ「ミッフィー50周年記念展」を見に行って来ました。 片耳に王冠をひっかけた「クイーンミッフィー」のポスターはめずらしく背景が卵色で素敵でした。 これまでのミッフィーの遍歴や100冊を超える作品の紹介、作者のブルーナさんのコメントや創作過程の公開などもりだくさんの展示でした。ブルーナさんのコメントの言葉は、作品同様とてもシンプルで素敵です。
「わたしはいつも、<よりよいミッフィー>を描きたいと思っています」 というコメントもさることながら、
「去年の作品(ミッフィーの演奏会)の中で、フルートを吹いたミッフィーにおじいちゃんが拍手をしますね。あのおじいさんはブルーナさんご自身でもあり、あの拍手は50周年のお祝いの拍手でもあるのでしょうか?」という記者の質問に、ブルーナさんはこんな風に答えておられました。 「ミッフィーを50年描いていて、今では私の孫娘のように感じることもありますね。でもあの拍手は50周年のお祝いの拍手ではありません。彼が拍手をしたのは、ミッフィーの演奏がとても上手だったからです。」
このコメントに、思わず涙が出そうになりました。
理由はふたつ。 ひとつは、もちろん、ミッフィーと(おじいちゃんと)ブルーナさんにとってとても大切なものがこの上なくシンプルな形できっちりと守られたこと。 もうひとつは、ブルーナさんの答は、その大切なことを無視して質問を投げかけるという、いささか失礼な(と私は思うのですが・・)インタビューの言葉に対して、必要最低限の否定の言葉しか用いていないことです。
素敵な質問に素敵な答を返すことももちろんとても素敵なことだと思うのですが、素敵でない質問に対して素敵な答を返すことはけっして不可能なことではないのですね。そしてそんな素敵な答えが返されている現場はやはり素敵な雰囲気でないはずがない・・・。当たり前のようで猛烈に難しいことをさらりと証明してみせるブルーナさんはほんとうに素敵で・・・、なんだかとっても幸せな気持ちになりました。
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