窓のそと(Diary by 久野那美)
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通っていた中学も高校も、とてもこじんまりした学校だった。 おなじ学年にしらないひとはいなかったし、全校生徒がだいたい顔見知りだった。 そこから、関西でいちばん大きな大学に進学した。 入学式の日。 立ち並ぶサークルの看板に驚いた。 「雅楽部」「奇術部」「探検部」「速記部」は序の口、「超文学研究会」「さだまさし研究会」、ほかにも聞いたことのない単語のついた研究会がひしめいていた。 180人の中ならひとり居れば多い方だったマニアックな嗜好も、サークルができるほどの人数を集めて普通に存在していた。 テニスをすることも、帽子から鳩を出すことも、防人の歌について語ることも、一定以上の支持を集めているという点で平等なのだった。サークル総会では同じく1票がもらえる団体なのだった。 そのまま計算すれば切り捨てられてしまう小数点以下3桁の数も1000倍すれば整数になる・・・。奇妙な感慨を覚えた。
インターネットでHPめぐりをしてると、あのときのことを想い出す。 「風船について」「紙飛行機について」「せんぷうきについて」嗜好を同じくするひとたちが集う場がある。そこでは当然のように会話が交わされ、イベントが企画され、定例会や会報誌が発行されている。おおきいと思っていた大学はそれでもたかが2万人だったけど、ネットはそんな規模じゃない。驚くと言うより感動的。
インターネットで世界につながる・・という表現をよく見る。 それって、大きな目的を大勢で共有することのようにみえるけど、実は反対なのねとつくづく思う。世界が大きくなるということは、小さくて見えなかったものが見えるようになることだった。1000倍して、10000倍してどんどん整数にしていくことだった。
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