窓のそと(Diary by 久野那美)

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2001年12月27日(木) にせもの

<ほんもの>ははじめからそこにあって、あるのがあたりまえだった。
<にせもの>ははじめはどこにもなかった。ないのがあたりまえだった。
だけどそれでは困ると思っただれかが、ほんとうはないはずのものを創ってしまった。

<にせもの>の出現によって、
「在る」ということは、そうそういつもあたりまえではなくなってしまった。
世界は「在ること」からはじまるときもあれば、「無いこと」からはじまることもあった。
あたりまえに「在る」のは<ほんもの>だけの特権になった。

何故在るのか。どこに在るのか。<にせもの>は問い続けた。
答が尽きれば<にせもの>はあたりまえの姿にもどる。
ないと困る誰かのところにだけ、ないと困る間だけ、「在る」ことができた。

「在ること」から始まる世界では何も問われなかった。
<ほんもの>はいつもはじめからそこに在った。

それ自体が答だった。


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