窓のそと(Diary by 久野那美)
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草間やよいさんの作品を、たまたま写真で見た。 草間やよいさんといえば、<「水玉」をモチーフにした美術作品の作家>、あるいは、その経歴や容貌から、<混沌や狂気をキーワードに語られる天才芸術家>・・という程度の知識しかなかったので、どんなに強烈な作品を造る人かと思っていた。私は強度の水玉恐怖症なので、彼女の作品を直接見てみようと思ったこともなかった。 彼女のことを教えてくれた知人が、 「わざと気持ち悪い水玉をモチーフにしてひとの感情をゆさぶるのよ。」とか言ってたのを聞いたので、ますます興味がもてないでいた。
たまたま、作品の写真を見る機会があった。 ひとつは横浜で今年の秋開催されていた美術展の中の作品で、海をモチーフにしたもの。もうひとつはなぜか女性雑誌の旅行特集号の中にまぎれていた水玉かぼちゃ。
びっくりした。もう、仰天した。 なんて静謐な、なんて静かな<もの>と<世界>がそこにあっただろう。 とんでもないことが、きちんと、静かに、上品に、営まれ、どこにでもある大きさと広さと重さを与えられて冷蔵庫の中の缶詰のようにコトンと置かれていた。
この静かさは何? どうしてこの作品には雑音がないの?
不思議だった。とても。 ざわざわを作りたいのではなく。うるさいのが嫌だから水玉なんじゃないかと思った。 こんな静かな水玉を、私ははじめて見た。 もっと他の作品を見れば違う感情がわくのかもしれないけど、<兎に角>、世の中に静かな水玉があるということにびっくり仰天した。 このひとのデザインしたタピオカなら、食べられるかもしれないと思った。
もうちょっと考えたら別のことがわかるのかもしれないけど、でも、とりあえず、これはなんだか書いておかねばと思ったので・・・。
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