窓のそと(Diary by 久野那美)
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雨の日の記憶ってなんだか不思議だ。 記憶の中の風景は必要以上に古ぼけてくすんでいる。そして不自然に大きい。 なのに妙にはっきりしている。 私は風景の外にいて、どこか別の場所からそれを眺めている。
普段は人間で埋まっている場所がその時だけ空っぽになる。 いつも自分がいる場所を、遠くから見ることができる。 違和感とノスタルジーがまぜこぜになった不思議な風景。
いちばんふるい雨の記憶は小学校に入学してはじめての雨の日。
雨の日の木造校舎のにおい。 からっぽの運動場。 ぐっしょり濡れてる朝礼台。 水溜りんの上でぴちゃぴちゃと雨を受けているブランコ。 遠くまで白い空…。
6年通って。ほかにもいろんな日があったはずなのに、 いちばんはっきり覚えてるのはそんな風景。 誰もいない、からっぽの風景。
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