窓のそと(Diary by 久野那美)

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2000年12月09日(土) 全体を考えて、分類すること。  

「海の上のピアニスト」という映画の中で、主人公のピアニストが言っていた。
「私は船の上とピアノしか知らずに育った。ピアノの鍵盤は有限だった。だけど世界には果てがない。無限の世界へ出て、一体どうやって自分の人生を選び取っていけばいいのかわからない。」
彼は船から下りることをやめ、人生を船とピアノの鍵盤の上だけで終えることを決意する。
このピアニストの気持ちはとてもよくわかる。
私は生まれたときから船の上やピアノの前ではなく、「世の中」で暮らしているので、いつも「わからなくて」悩む。

誰かに何かを伝えたいとき。
自分に何かを伝えたいとき。
何かを探しているとき。
どこかへたどり着きたいとき。

世の中に無限にある言葉の中から、分類の中から、道の中から、ものの中から、いったいどうやって必要なものを選び出せばいいのか、いつも途方に暮れて立ちすくむ。

私は快楽主義者なので、自分にとってなにかがものすごく必要なことだけは分かる。でも、その「なにか」の名前がいつもわからない。
それがどういうジャンルのもので、どれくらいの大きさで、どこへ行けば手に入って、どんな方法で描写できるのか。
わからない。わからないのでよくパニック状態になるし、よくひとに迷惑をかける。道を歩いているときも。稽古場でも。だいほんを書いてるときも。

てきぱきと目の前の状況を分類し、適切なジャンルの適切な方法で斬っていくひとを見ると感動する。
なにかこつがあるのではないかと思ってつぶさに観察してみるんだけれど素人にはなかなかまねできない。前々から目を付けていたそういうひとのひとりに、今日、思い切って聞いてみた。
ちょっとした秘訣を教えてもらった。
こつは「全体像を考え」、「分類すること」。
道がわからなくなったら「東西南北」を見極め、「目的地がどちらの方向にあるのか」を考え、「そこへ行くためにはどの道がわからいやすいか」を検討する。
シーンを2回見たら、まず「どっちがよかったのか」考え、「それはどの辺りなのか」を考え、「どうしてそう思ったのか」を考える。
そうしていけば、その都度有限な範囲のなかから選びだすことができるのだ。

なるほど。発想の転換。しかし、これは慣れないと難しそうだ。しかも、慣れたくらいでできることなのかどうか。


→海の上のピアニスト」の情報はこちら


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