窓のそと(Diary by 久野那美)
→タイトル一覧 過去へ← →未来へ
稽古場には「ここにないもの」がたくさん「在る」。 椅子や机で代用してるけど、ほんとうはあるはずの「ドラム缶」、ジャージにしか見えないけど着ているはずの「ジャケット」、あるはずの窓…、事情があって稽古場にいないけどほんとはそこにいるはずの登場人物…。 不便だし不自由なんだけど、私はひそかにどきどきしている。
本番は、当たり前だけど何も足りなくない。 ずべてのものがあるべきところにある…。 それはもちろん当たり前のことで、そうでないと困るし、いちばん理想的な状態。 なのに。なんだかちょっとだけ淋しくなる。 何かが「減ってしまった」気がして。 稽古場にしかなかったものがあるような気がして、それがとっても懐かしい。 本番なんかなければいいのにとさえ思う。
言ってはいけないことのような気がするので、こっそり思う。 だって美術や照明が不要なわけじゃない。 美術完成予定図や、照明さんの説明してくれる灯りの雰囲気は、稽古場にも不可欠な要素だ。 なのに…。
「すべてがちゃんとそろってる」のに「ここにないものもここにある」本番の舞台を 作れたらいいのだ。
稽古場では今。そのための方法をみんなで探している。
→タイトル一覧 過去へ← →未来へ
|