窓のそと(Diary by 久野那美)
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2000年10月18日(水) |
機能的な本棚について |
この間。本棚の整理をしてみた。 生まれて初めて、本をシリーズごとに並べて上下を正しく収納した。 本棚とそれを巡る風景は、見違えるように美しくなった。 うちの本棚じゃないみたいだった。ものすごいカルチャーショック。
本を並べてみよう。と思い立ったきっかけがある。 遊びに来た友人といっしょにご飯を食べていたとき。 「久野さんは、どんな基準で本を分類してるんですか?」と聞かれて言葉に詰まった。 「さっきから考えてるんですけど、どうしてもわからなくて。」 本棚の向かい側に座っていた彼女が言った。最初は質問の意味がわからなかった。 「…分類しない。」 「え…。でも、探すとき困りませんか?」 彼女は重ねて質問した。 「探さない。」 やっぱりよくわからないまま答えた。
シリーズものの漫画も1234巻と並べたことがなかった。 読んだら空いてるところにもどしていた。別に困らなかった。 3巻がみつからなければ飛ばして4巻を読んだ。 1巻だけが長い間読めないまま、最終巻まで読むこともあった。 そもそもあんまり順番にこだわる方ではなくて、積んである順番に読んでしまうので そんなに困らなかった。機能的に、特に問題があるとは思わなかった。
だけど、順番に並んでいればそれはそれで別の読み方ができたのかもしれない。 並べたくないわけでも、順番に読みたくないわけでもなかった。 ただ、思いつかなかった。 思いついてみれば、「本を分類して並べる」というのは、なんだかとっても素敵な作業のような気がした。
そういうわけで並べてみた。 時間はかかったけど、見違えるような美しい本棚が完成した。 あっという間に本がみつかるので「探して読む」という文化が生まれた。 本を取り出すたび、「ふーん」と声が漏れてしまう。 本を戻すたび、「かたん」と音をたててきっちり奥まで収納してしまう。
なんだかとても具体的な作業を通して、抽象的な問題を掘り起こしたような気がする。 それが何なのかはまだよくわからない。
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