外腰に重心を乗っけてスキーをコントロールするというのは、アルペンスキーの初期の時代からの基本中の基本だと思う。
俺が子供の頃、たぶん35年前くらい、カルピスサイダーだったかカップヌードルだったかのテレビコマーシャルで、ヨーロッパ(?)の子供がたぶん氷河の30度オーバーの急斜面を見事なシュテムチェックな小回りターンをビシバシ決めているシーンがあった。たぶん10歳前後の金髪君だったと思うんだけど、俺のアタマの中は、今でもこの滑りが基本と思い込んでいる。それから、フランスのジョルジョ・ジュベールというスキー学者が書いた、ザ・スキーという本があるんだけど、その中にも、当時の女子トップのペリーヌ・ペランが急斜面でシュテムチェックの練習をしているの見て、スキーの基本ってこれだよなあって思っていた。
この動きは、かかと押し出しというテールをずらす動きがベースとなる。子供たちの動きが、スピードが出てくることによって、プルークボーゲンからプルークターンに変化するけど、その変化する前の動き。ちなみに、プルークターンになるのは、このかかと押し出しの量が減り、股関節を使った足前投が行われているから…なんだけど、まあ、それはとりあえずあとで。カービングスキー登場後はこの動きはブレーキ要素が大きいので、ちょっと疎んじられているようだ。量の大小の差こそあれ、重力エネルギーをコントロールするには、こういったズレが必要になるんだけどね。
ちなみに、カービングスキーっていうのは、まっすぐなスキーに比べて遠心力が生じたときに自動的にブレーキがかかる構造になっている。ようは、サイドブレーキや半ブレーキをずっと引きっぱなしでアクセルを踏んでいるような状態になる。結果的に、遠心力に対してブレーキがかかるから、あえて重力方向へブレーキをかけなくても、自然と減速する。そんなんで、かかと押し出しは滅んだのさ(だけど、とても大事なんだけどね。)。たしかに緩斜面から中斜面では、これでも滑れるんだな。それに、日本のスキー場は、とんでもない急斜面ってあまりないから、カービングスキーばんざいなわけだ。
さて、話をかかと押し出しに戻すと、これをズレズレのまま、外腰に乗っかると、やがてトップとテールの圧が均衡し、デラパージュになる。直滑降から急停止と同じポジションなんだけど、外腰の上にウェイトが乗っかる状態をつくるには、やっぱデラなんだよね。この腰のポジションさえ分かると、子供たちはどんどん次のチャレンジをしていくようになる。
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