2008年09月10日(水) |
事故米? 所得−消費曲線とエンゲル曲線
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ジンマシンが復活してきた。抗がん剤投与が終わり回復期にあるときに、このジンマシンが出てきたということで、もしかすると慢性GVHDの疑いも考えられるらしい。うまくGVL効果を発揮してこのままブラストが消えてくれたら…なーんて、甘いよな。
さて、 前回は、最適消費選択行動ということで、家計の最適な消費計画というのは、予算制約線と無差別曲線の接点における組み合わせになるんだということを説明した(最適消費計画の条件)。これをもうちょっと経済学的に言うと、予算制約線の傾きの絶対値と無差別曲線の傾きの絶対値(=限界代替率)は等しいという関係が成り立つということになるんだ。
今回は、 家計の所得が変化をしたときに、消費者が最適な財の組み合わせをどう変えていくのかを考えてみようと思う。縦軸にy財、横軸にx財をとり、予算制約線を書いてみて。そこで、x財とy財の価格が一定と仮定したとき、所得が増加すると予算制約線は右上方へシフトし、所得が減少すると予算制約線は左下方へシフトするんだ。価格は一定と仮定するので、予算制約線の傾きは変化しないことに注意して。どちらかの財の価格が変化すると、前回説明したように、予算制約線の傾きが変わっちまうからね。
ここで、所得変化したときの、x財、y財の2財に対する消費量の組み合わせを連ねたものは、価格を一定としたときの所得を様々に変化させたときの最適消費計画の軌跡であり、『所得−消費曲線』と呼ばれる。
所得が増加するにつれて、x財もy財も消費量が増加することは簡単に想像できると思うけど、こういう財を上級財あるいは正常財と言う。このとき、所得−消費曲線は右上がりとなる。一方、所得の上昇につれて、x財は上昇するんだけど、y財が減少することも考えられる。このような性質を持つy財のような財を下級財と言う。このとき、所得−消費曲線は右下がりとなるんだ。
所得−消費曲線は原点を出発点とするので、必ず右上がりの個所が存在することになる。だから、どのような所得に対しても下級財的性質を持つ財というのはない。なので、必ず右上がりの箇所が存在することになるんだ。
このことをもうちょっと分解して考えてみる。正常財のx財の需要量を縦軸に所得を横軸にとったグラフを描くと、所得が増加すると需要量は増加するので、右上がりになる。これに対して、y財に対する需要は、ある所得までは増加するけど、その点を過ぎると一転して減少傾向を示すことになる。
ちなみに、需要量を縦軸に所得を横軸にとった、所得と需要量との関係を表す曲線を、エンゲル曲線と呼んでいる。このエンゲル曲線がどんな形状になるかは、財の性質に依存している。たとえば、主食の米なんかの必需財は、所得が大きく変化しても需要量はあまり変わらない。でも、ファッションや趣味などの奢侈財に対する需要量は、所得の増加の変化に敏感に反応することが予想できるでしょ。なので、エンゲル曲線を描くことで、財の性質を考えることができるんだ。
ここで、所得の増加率に対する需要の増加率の比を、需要の所得弾力性と呼ぶ。所得弾力性は、様々な財の性質を表す指標として用いられている。所得の増加率をΔm、需要の増加率をΔxとしたとき、エンゲル曲線上のある点(x財需要量x1、所得m1)における所得弾力性は、
(Δx/x1)/(Δm/m1)
で表される(数学的には、(dx/x)/(dm/m)=(m/x)・(dx/dm))。
たとえば、主食の米なんかの必需財は相対的に所得弾力性は小さくなるだろうし、ファッションや趣味などの奢侈財の所得弾力性は大きくなると考えられる。下級財の所得弾力性はマイナスになる。
ところで、 エンゲル係数という言葉を聞いたことあると思うんだけど、それは、この需要の所得弾力性を理解していると、より良く理解できる。エンゲル係数というのは、各財への支出額を所得(支出総額)で除した値のことをいう。先に述べたように、所得弾力性が高い財ほど所得の増加するとともに支出額が大きく増加し、所得弾力性が低い財ほど所得の増加することによる支出額の増加は小さくなるので、必需財のエンゲル係数は、所得が高いとその値は小さく、所得が低いと大きくなることになるんだ。したがって、特に、食料に関するエンゲル係数の大きさは、時代や地域の異なる経済間を比較する際の、実質的な所得の相違を示す指標として用いられてきていたんだ。
病室で妄想する経済理論(目次) 1 愛と平和のインフレ・デフレ 経済学にハマッテしまったある入院患者のボヤキ 2 冷静と情熱のミクロ 各家計や企業の経済活動を分析するのがいわゆるミクロ経済学 3 疾風怒涛の供給曲線 人間の営む経済活動の大前提を考えてみると、それは、欲望は無限、資源は有限、この有限な資源をどう使うのか?という問題が常に立ちはだかるということになる 4 マニー・ラミレスとケン・グリフィー・ジュニアの市場メカニズム 『市場』における需要と供給の関係 5 放置プレイな完全競争市場 1 売り手と買い手が多数存在、2 価格支配力を持たない、3 同質の商品である、4 情報の共有、5 参入障壁がない、という5つの前提条件 6 いとしの消費者余剰 『消費者が求めずにいるよりはむしろ高い価格を支払ってでも求めたい財を、低い価格で購入した場合、それによってもたらされる効用』 7 ここが我慢の限界費用 生産量を一単位増やしたときに必要な追加的費用 8 微熱気味な生産者余剰と社会的余剰 生産者余剰とは、生産者が実際に受け取った額から生産のための可変費用を差し引いた額として定義 9 ご飯の美味しさと価格統制 社会的余剰を説明したときに完全競争市場下で社会的余剰は最大になるんだよ、みたいなことを書いたんだけど、それが本当にそうなるのかどうか 10 北京オリンピックの私的費用と社会的費用の乖離 市場に委ねてしまうと却って社会的余剰を減少してしまうような場合 11 オリンピック放送の電波は公共財 市場の失敗の例としては、公共財っていうのもある 12 足湯とビールと限界効用 消費者行動というのは、合理的な選択をする 13 ビールには枝豆!無差別曲線 ある財の組み合わせと全く同じ満足をもたらす組み合わせの点を繋げていくことにより、無差別曲線と呼ばれる右下がりの曲線を描くことができる 14 上野 vs. ブストス! 予算制約線 何かを買おうとした場合、そこには、所得の制約が存在している 15 あなたとは違うんです!最適消費選択行動 予算の制約がある中で合理的に行動すると、購買できる商品の組み合わせのうち最大の効用をもたらすものを選択する、と経済学では仮定
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