2005年02月26日(土) |
山古志村の五十嵐ユタカ君の家の愛犬マリとマリが生んだ三匹の子犬の物語が本になった。
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中越地震で被災した五十嵐さんのお宅のマリの物語。本になった。
■3匹の子守った母犬絵本に 無人の山古志村で半月間
新潟県中越地震が発生した昨年十月二十三日に産んだ三匹の子犬を、全村避難で無人となった山古志村で半月間守った母犬の実話を基にした絵本が出版された。被災地の子供たちに二十六日、千冊分の目録が贈られ、山古志小の児童六人が代表して絵本を受け取った。
この絵本は「山古志村のマリと三匹の子犬」(文芸春秋)。三歳の雑種マリを飼う村職員の五十嵐豊さん(39)は地震当日、一匹目の出産を見届けてから出勤し、地震発生時は仕事で小千谷市に出掛けていた。道路も通信も寸断され、地震から二日後に避難してきた父(70)から「かわいそうだが連れてこられなかった。マリは首輪を外して置いてきた」と聞いた。
地震から十八日後の昨年十一月十日、一時帰宅した五十嵐さんはマリと再会。縁の下に三匹の太った子犬がいることを見て安心した。マリは現在、同県三島町の知人男性宅に避難し、子犬たちもそれぞれ引き取られて元気に暮らしている。
長岡市の桑原真二さん(46)が五十嵐さんから話を聞いて原作を書いた。傷だらけになったマリが、たんすの下敷きになった五十嵐さんの父の顔をなめて励まし続けたり、子犬のえさをほかの犬たちに奪われないよう穴を掘って隠すエピソードがつづられている。
マリの子犬のうち一匹を引き取っている山古志小五年の関美沙紀さん(11)は長岡市の山古志村役場の仮庁舎で絵本を受け取り「(子犬を)大きく育てたい」と話した。
桑原さんは「地震の時でも親子の関係がきちんとあったことを子供たちに知ってほしい」、五十嵐さんは「全国の小さな子供たちにメッセージを送れることはありがたい」と話している。
絵本にはマリと子犬たちの写真も収録。被災した長岡市の印刷会社が製版し、売上金と印税の一部を復興のために寄付するという。
【Referer】
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