日焼け止めクリームを背中に塗ってもらっていたら、
『なんか、脂が乗ってるね〜』
なんて、妻に言われた。
そりゃ、あなたが何百日(何千日?)も触ってくれていない背中なんだから。日々変化してるわな。・・・たしかに、情けない体型になりつつあるんだが。
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平日の浜辺は適正な密度のパラソルが立っていた。台風の影響でウチの古いパラソルは何べんも破壊の危機に陥ったが、開いたり閉じたりを繰り返し、なんとか持ちこたえていた。
風も落ち着き、浜辺を見渡す余裕が出てきた。濃い色のサングラスをかけた私は、平日だからなのか比較的多い女性同士のペアの甲羅干しに目が行く。
みんなビキニなのね、最近は。・・・幸せだな、オレ。
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白いビキニと黒いビキニの二人がなんかいい感じで(汗)。ずっと気になってた。
そこへ、ベリショーツンツンが、誰が見ても『ナンパ』って感じで擦り寄ってきた。まずは、白ビキニにカマをかけている。
この彼、振り向いて遠くのほうに目配せした。その目線の先にはロン髭がいた。が、ロン髭のほうは、コンクリブロックに寝そべったまま、行動を起こそうとはしない様子。
ツンツンは、やれやれといった表情で、白ビキニと話を続けていた。一方、話の輪に入るのが面倒くさいらしい、黒ビキニはフテ寝を決め込んだ。
ツンツンは、話が滞ったのか、一人で海にダイブしていった。ジャバジャバ、波を泡立てる。
そこへ、やおら起き上がった、ロン髭が、『ゴザ(サーフブランドのマーク付き)』を片手に白ビキニに擦り寄っていった。ツンツンが慌てて浜に戻り、ゴザに座る。ロン髭は、白ビキニとツンツンと向かい合うように、砂の上に寝転がった。
相変わらず、黒ビキニはフテ寝。
三人で話が盛り上がった様子。ツンツンが携帯片手に話し始めた。どうやら、電話番号かアドレスを聞き出そうというのか。
にも関わらず、黒ビキニはフテ寝のまま。
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人の恋路を見続けるのも疲れてきたので、中一♂と『波乗り』をすることにした(浮き輪でw)。これが結構面白い。馬鹿にしたもんじゃないね(もっといい道具があれば、もっと楽しめるんだろうけど。)。風があったので、いい波が立っていた。
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黒ビキニも白ビキニも手を振っている。どうやら、ツンツンとロン髭はナンパに失敗した模様で、さようなら〜〜〜と手を振られているようだった。
彼ら二人は、恥ずかしそうに浜茶屋に消えていった。ゴザを片手に。
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あれれ。
こっちに手を振っている。こっちに近づいてくる。目的は何なんだ。目的は・・・。
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顔の上に風で倒れたパラソルが圧し掛かってきた。心地よい重さだったが、次の一言で目が覚めた。
『お父さん、日焼け止めをお腹のほうに塗らなかったでしょ。真っ赤だよ。明日になると痛いよう。』
ああ。そういえば、ナンパを見てたんだよなー(趣味悪ぅ〜。)。黒ビキニさんと白ビキニさんはどこかなぁー。キョロキョロと周囲を見渡したけど、どこにもいない。残念。
倒れたパラソルを立て直して、ふと気が付いた。
ウチのパラソル、モノクロのツートーンだった。
【Referer】
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