やまびこの練習最終日、小六チームとコーチとの親善試合があった。
この試合、小六♂はスタメンで使ってもらっていた。
3塁の塁審をしていた私は、打席に立つ小六♂に念をかけていた。打ってくれ〜。当ててくれ〜。
技術的、体力的、精神的に、他の選手と比べ明らかに幼稚なウチの子。
ファールチップでキーンという音がした。守備についているコーチたち、見に来ていた親たち、ベンチの仲間たちから声援がかかる。
Kコーチの投げた次の投球がフルスイングしたバットとぶつかった。奇跡だ。打球がフェアグラウンドに飛んだ。ショート後方へのふわりとした当たりだった。ショートのHコーチが捕球してアウトとなった。
アウトになったけど、とてもうれしかった。
公式戦、練習試合、紅白戦、見に行った試合で打席に立つことは数えるほどしかなかった。そして、フェアグラウンドにボールが転がることはほとんどなく、三振して恥ずかしそうにベンチに戻っていくことが常だった。
本人も試合に出たいと思っていたに違いない。勝ち負けにこだわれば、使うことが難しい選手。
そんな小六♂がフェアグラウンドにボールを飛ばしたのだ。本当にうれしかった。
親善試合の後、納会『球洗い』が行われた。その席で、小六♂は、 『中学校で野球部に入って、練習して守備がうまくなりたい。』 と宣言した。
これからも毎日ティーを上げるから、頑張ろうな。
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