2002年10月24日(木) |
こんなこともニュースになってしまうのか・・・。
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裏口入学詐欺、被害者の請求棄却=「親心分かるが反社会的」−東京地裁
慶応中等部に子供2人を裏口入学させてくれるよう頼んだのに合格せず、現金をだまし取られたとして、横浜市の男性が自称教育評論家矢崎英敏被告(47)=詐欺罪で公判中=ら2人を相手に約5300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であり、深見敏正裁判官は請求を棄却した。 判決は、男性が工作資金を渡したことについて「子を思う親の心情は理解できなくもないが、反社会性が極めて大きく、公序良俗に反する」と述べた。 (時事通信)
民法の基本論点の一つ、不法原因給付(708条)の判決である。
論証パターンからいえば・・・
1 AB間の契約は、Bが裏口入学の手続をし、Aがその対価として現金を引き渡すことを内容とするものである。このような契約は、公正であるべき入学試験に、財力で不正に合格しようとするものであって、社会的非難が大きく、公序良俗に反するものとして無効(90条)であると解される。とすれば、無効な契約に基づいて給付された現金は、不当利得(703条)となって、AはBに返還請求できそうであるが、右給付が不法原因給付(708条)にあたるのではないかが問題となる。
2 そもそも708条は、自ら社会的に非難されるべき行為をした者が、これを理由として自己の損失を取り戻すため法の救済を求めることをその心情において責められるべきであるというクリーンハンズの原則に基づいている。そして、90条と一体となって、反社会的な行為をした者に一切の法律上の救済を拒否する法理を形成している。したがって、708条の「不法」とは、公序良俗に反する場合をいい、本件の給付も不法の原因に基づくものといえる。
・・・となり、以下、場合分けをして・・・
・ 受益者の違法性が給付者よりも大であるときの708条但書の類推適用
もっとも、708条但書には、不法の原因がもっぱら受領者にある場合には、例外的に給付者は不当利得返還請求権を有するものとしている。その趣旨を推し進めれば、給付者と受領者の不法を比較し、不法が受領者に多く存在する場合には、同条但書の類推適用を認めるべきである。
・ 所有権に基づく物件的返還請求への708条の類推適用
AはBに対し、所有権に基づく返還請求ならばなしうるであろうか。この点、所有権に基づく返還請求にも708条の類推適用を肯定すべきである。もし類推適用を認めないと、所有権に基づく返還請求という形をとることで、708条は簡単に有名無実化されてしまうからである。
・・・を論じて解答を完成させる。
何をいまさらというような問題の記事である。
ほかに何か目新しい判断があったのかしら・・・?
ぁ・・・。
原告代理人の安田英二郎弁護士の話 納得できない。被告は「記事になるのを止めてやる」などと言って金をだまし取っており、原告が進んで提供したわけではない。事件の悪質性から見て、被害者を救済するのが当然ではないのか。(毎日新聞)
そうだよなぁ。これを争っているんだよなぁ。
裏口入学というスキャンダラスな面ばかりを強調する記事だと、本質は、見えてこないよなぁ。
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