一色達夫の日記

2014年01月28日(火) 水源小屋の解体

農業用灌漑施設を更新する事業が実施されている。予算付けの都合で2年間の継続事業なのだが、25年度の年度末が近いこの時期、業者による作業が逐次実施され、古い灌漑施設用地が日に日にその様相を変えている。

この灌漑施設、開田記念碑には昭和9年の事業とある。

私の小さい頃の記憶をたどれば、バタンバタンという音のする小屋を覗いた中には、背丈よりも大きいデイゼルエンジン(たぶんそうだったんだろう)が動き、長い動力ベルトが「バタンバタン」と音を発て、大きな管からは水が噴出していた。

時を経て年を重ねて、既に還暦を過ぎたわが身と地域の農業事情を見た時、既に往時の勢いは失せ、この灌漑施設で潤す水田面積は激減。農業者の数より、闊歩するイノシシの数の方が多いと思われるような、情けない現状とはなりにける。

そんな現状を踏まえながらも、農業用水の確保は農業者としての重要な仕事。万難を排しての事業実施ではある。

80年を経て使い続けてきた水源小屋は、昨日、大型ユンボのアームの前に一日で跡形もなく解体された。

新設施設設置工事を前に、古い灌漑施設の使い納めの二年間。嫌というほどのトラブルが続いた。一昨年は15kWモーターが焼きつき使用不能、取替え費用に13万円。昨年は夏場の渇水で揚水困難となり、仮設水中ポンプの借用費用8万円。水不足のため二年続けての田植え遅れ。
水源費用を徴収した中から貯めておいた会計の中で、何とか処理は出来たが、この地での水稲栽培は手間も経費も嵩むものではある。

農業施設適正化事業。二年継続の予算1200万円。内地元は事業費の一割の負担。
長年見慣れた光景から、一気に様相を変えた農業施設。このときを契機として、新しい地域風景を作り出すつもりではある。それが、大きな予算を頂いて農業を続けさせてもらっている農業者の務めだから。

今年からの揚水作業は、スイッチ一つポンでOK。昨年の渇水で水中ポンプによる揚水量の確保は実証済みのため、灌漑開始日は固定できる見込み。


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