華のエレヂィ。〜elegy of various women 〜 | ||
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2002年08月09日(金) ある日曜日の若妻。 『宵闇』 |
<前号より続く> 「・・・私も割り切ってますから。お小遣い下さいね」 「・・・いくら?」 「1万円で」 「ここの店の女の子はみんな1万円だって言うね(笑)」 「そうなんですか?だってタダでしちゃいけないって店から言われました」 「店から?」 「そういう時はタダですると勿体無いからって」 大体の予想はついていたが、やはり追加料金を請求された。 それもマニュアル通りの1万円。 慣れていないとはいえ、口がすべり少々余計な事を喋ったのはご愛嬌だ。 「エイコさんは、構わないんだ?」 「私も生活が掛かってますから、その分お金が頂けるのなら・・・」 エイコはそう言うと、俺から身を離す。 そしてバックの体制になると、恥ずかしそうに顔を背けた。 俺に尻を突き出し、彼女自身の三つの穴を見せる。 あまりにはしたなく、女性として最も屈辱的な格好であろう。 「大丈夫ですよ、私、割り切ってますから・・・」 俺はその言葉に真意が存在する事を悟りつつ、エイコの内腿に舌を這わせる。 エイコは尻を上下左右に疼かせ、枕に顔を押し付けて声を殺す。 その行為と裏腹に、エイコの下の唇からは愛液が垂れてきた。 「いいの?」 「・・・はい、割り切ってます・・・」 俺はゴムを付け、バックからエイコに挿入した。 シーツを手型の皺がつくほどギュッと掴み、何かに耐えるエイコ。 俺はエイコと逆に、割り切れない気持ちのままで客としての役割に徹する。 風俗嬢として客の性欲を満たす役割を演じるエイコと、俺。 これだけ辛い『割り切り』も無かろう。 旦那と風呂にも入れないような純朴な若い嫁が、 生活のためとはいえ、自分自身を剥き出しにして晒す。 割り切っています・・・なんて台詞は、 本当に割り切っている女なら、いちいち何度も口に出さない。 一番割り切れていないのがエイコ本人。 そう言い続けることで、自分が割り切ろうとしているのだ。 必死になって割り切る姿を見せられた俺は、 客として何とか割り切った態度で接する。 俺とエイコは、何をこんなに下手な芝居をし合っているのだろう。 おかしなイタチゴッコだ。 エイコ自身の締まりは随分良かった。 女性の締まりが良い時というのは、 実は本当に感じていないときだ、と聞いたことがある。 女性自身の締まりとは、いわば男性への「抵抗」であり、 本当に性感に酔っている時ほど、力が入らずに「緩んでいる」状態なのだという。 分かっている。 エイコが喜んで俺を迎え入れている訳ではないことを。 今日逢ったばかりの、それも金で買った男に心など開く訳が無い。 様々な意味の『割り切り』。 皮肉な事に・・・ エイコの女としての本能からの抵抗が、俺自身の性欲を満たそうとしている。 エイコは先程より強く顔を枕に押し付けて、艶かしい声を殺す。 快楽なのか、抵抗なのか。 彼女は何かに必死に我慢している。 俺はそんな姿を見て、心は痛みつつも絶頂に向かう。 『 男は、抵抗し嫌がっているよその奥さんをバックで犯している・・・ 尻を突き出すその女は、犯されつつも秘蜜を垂れ流して悦ぶ。 旦那よりも強烈な、痺れに似た快楽に酔いしれ、 ついに今までの男には見せた事の無い痴態を露にした・・・ 』 いつかどこかで読んだ三流官能小説のような情景が、今、俺の前で行われていた。 おかしな背徳感が俺の性欲を最後に掻き立てる。 そして絶頂。 ベッドの上で猛ダッシュを繰り広げた俺は汗まみれでベッドの脇に倒れ込む。 エイコはバックの体制のまま下に潰れ、ぼんやりとしている。 子供の遊ぶ声もしない夕暮れ過ぎの住宅街。 俺とエイコは、互いに複雑な感情を持ったまま黙っている。 「・・・満足でしたか?」 「・・・ありがとう。我が侭聞いてくれて」 「こちらこそ、ありがとうございます・・・割り切ってますから」 「・・・嘘付け(笑)」 「・・・」 この時のエイコの表情が印象的だった。 時間が押し迫っているので、慌ててシャワーを浴びる。 そして清算を済ませた。 なぜかプレイ料金のみだった。 「これでいいの?」 「・・・割り切れてない事、ばれちゃいましたから」 エイコはホッとしたような、落胆したような複雑な笑みを浮かべる。 このお金を貰うと、自分が本当に汚れた女になってしまうような気がします・・・ エイコは俯いて漏らした。 我ながら、余計な事を言ったかな・・・と落ち込む。 これも生活費になる貴重なお金。 しかし彼女は追加料金を切り捨てたことで、最低限の貞操を守ったのだろう。 「私、このお仕事は最初で最後かもしれません」 「・・・そうなんだ」 「楽しかったです。いい勉強になりました」 「何が?」 「私が上になってする方法・・・」 頬だけでなく、真っ赤になった顔でそう答えたエイコ。 「旦那さんに試してみる?」 「そうですね・・・あの人も次に向けて頑張っているから・・・」 「エイコさん、旦那さんの事が好きなんだね」 「・・・ええ・・・私にも子供にも、たった一人のパパですから」 「もう逢うことも無いかな」 「△△(スーパーの名前)でなら、お会いするかもしれませんね」 「俺、よく行くんだ・・・逢った時には安くしてね。特に刺身(笑)」 「はい(笑)」 エイコは最後に笑って、俺の部屋から出て行った。 垂れた目が無くなるほどの、いい笑顔だった。 真面目な人ほど損をする、この世知辛い時代。 そんな中でも家族に黙りつつも、必死に支えようとする彼女。 明け方の浅い眠りの中で見る夢のように、短く儚い出逢いだった。 |
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