娘のたまが、保育園で借りてきた『3びきのくま』というロシア童話に夢中になっている。けっこう文字数があるので、一回読み通すのにかなりの熱量を要するが、ページを閉じるなり「もっぺん」と催促され、ひと晩に何度も読む羽目になる。
くまのお父さん、お母さん、子どもが住む家に人間の女の子が迷い込み、大、中、小のスープ皿からスープを飲み、大、中、小の椅子に掛け、大、中、小のベッドに寝てみる。大きいの、中くらいの、小さいの、のリズムの繰り返しは、お気に入りの三浦太郎さんの絵本『わたしの』(この絵本も何度読んだことか。おすすめです)で親しんでいて、その上級編といった感じ。
お父さんくま、お母さんくま、子どもくま、それぞれにロシアらしい響きの名前がついていて、子ぐまの名前は「ミシュートカ」。たまは、「タマ・ミシュートカ」と言い直させた(本人の発音ではミチュートカ)ので、わが家ではその名前となった。
深い色味の絵がすばらしく、大人も絵本の世界に引き込まれる。イラストは「バスネツォフ」とある。「シーツ」を「しきふ」と訳すところが、古典の味わい。翻訳は「おがさわらとよき」とある。
さて、気になるのは作者の「トルストイ」。amazonで作者名をクリックすると「戦争と平和」などの作品がずらりと並ぶが、あの文豪トルストイと同一人物か? そういえば、わが家にある『大きなかぶ』の作者もトルストイだが、こちらは「A.トルストイ」となっている。
調べてみると、トルストイはロシアによくある名前で、文豪トルストイはレフ・ニコラエヴィチ・トルストイ、『大きなかぶ』のA.トルストイは、アレクセイ・ ニコラエヴィッチ・トルストイで別人だった。よく混同されるアレクセイ・コンスタンチノヴィッチ・トルストイは文豪トルストイの又従兄らしい。
大きなかぶトルストイと3びきのくまトルストイが同一人物かと思ったら、くまの作者を「LNトルストイ」と表記するサイトもあり、LNとはレフ・ニコラエヴィチのことだという。文豪が童話も手がけていたのか、ファーストネームまで同名同姓なのか。『イワンのばか』も書いているのなら、同じ人なのかもしれない。
子どもの絵本一冊から世界文学史を紐解くことになった。
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