先日の昭和芸能舎公演『長ぐつのロミオ』は六本木のディスコが華やかさを競っていた時代が舞台だった。一緒に観に行ったヤマシタさん、アサミちゃんに「ヴェルファーレで松田聖子に間違われた事件」を話すと、勘違いのスケールの大きさに受けていた。正しくは「松田聖子に間違われたと思い込んだ事件」である。詳細を記した日記にも書いたが、おめでたい性格ゆえに、物事を前向きにねじ曲げて解釈する傾向があり、ありえない勘違いをしでかしてしまう。
最近では、「つばさ」の資料を届けた宅配便のお兄さんが、封筒に「つばさ」のロゴのスタンプが押されているのを目に留めて、「ひょっとして、関係者ですか?」と声を弾ませたときのこと。「ええ、まあ」と答えると、「ひょっとして、出演されているんですか?」。まあわたしって女優に見えるのかしらと自惚れたのと、お兄さんが言葉を続けたのがほぼ同時で、「そちらのお嬢さん」とわたしが手を引いていた娘のたまに目をやった。「いえ、違います」と言うと、「そうですか。いやーお嬢さんが出ているのかなって思いました。かわいいし」とお兄さん。娘じゃなかったらわたしが出ているとは思わなかったらしい。
宅配便の勘違いといえば、学生時代、関西ローカルの「ナイトinナイト」に「公募名人」としてゲスト出演した翌日のこと。荷物を配達に来たお兄さんがわたしの顔を見るなり、「昨日、桂三枝さんとテレビ出てはりましたよね?」と興奮した声を上げた。「観てはりました?」「観てましたよー。うわ、びっくり、本物やわ」とひとしきり盛り上がった後で、「サインください」とお兄さん。いやん、すっかり有名人やんと舞い上がり、「どこにサインしましょ?」と聞くと、「ここにお願いします」とお兄さんは伝票の受領欄の小さい四角を指差した。
……とまあ思い込みの激しさでは武勇伝に事欠かないけれど、最近思うのは、「思い込み」と「決めつけ」は違うということ。自分の価値観、許容範囲からはみ出したものに遭遇したときに、受け入れる余地があるかどうか。その間口は、大きいほうではないかと思う。インド人を幼なじみに持ち、アメリカの高校に留学した経験から、肌の色や言葉が違っても人間はわかりあえるという感覚が育ったし、応援団や広告代理店での波瀾万丈な日々からは、どうにもならない状況にも突破口はあることを学んだ。完璧な人はいないし、完璧な人生なんてない。その事実を受け入れた上で、どれだけ歩み寄れるか、積み上げられるかを探る姿勢に希望は宿るのだと思う。
明日からの「つばさ」第25週では、ラジオぽてとと城之内房子(冨士眞奈美)の対立が激化。欲しいものを手に入れるためなら手段を選ばない房子とわかりあえる道を探るつばさ。絵本『まじょのなみだ』に加乃子が付け足したハッピーエンドのように、みんなから怖れられる魔女の素顔は、みんなとつながりたい淋しがりやなのかもしれない。果たして、つばさは、房子は、どういう答えを出すのか……。24週に続けて「脚本協力 今井雅子」のクレジットが毎日出る増量週間。演出は初登場の松園武大さん。タイトルの「最後のラブレター」にちなんで、台本のお供はハートで描かれたラブレターを。いろんな形で愛をふりまいてきた「つばさ」も、25週を終えると、残すは最終週のみ。ラストまで休むことなくで精力的に進化を続ける公式サイトにもご注目。ドラマが二倍面白くなること請け合い。公式掲示板にもぜひ感想を書き込んでくださいませ。
【お知らせ】魔女田さん、NHKラジオに40分出演
日本イラン合作映画『風の絨毯』でご一緒して以来のくされ縁で、瀬戸内国際子ども映画祭の準備にも一緒に関わることになった平成の錬金術師、魔女田さんこと益田祐美子さんよりラジオ出演のご案内。
9月17日(木)NHKラジオ第一放送 どきめきインタビューのコーナーで10時から11時45分ころまで「主婦からプロデユーサー 4本目の映画「築城せよ」現在公開中!」(仮)という題で40分間おしゃべりします。また、5作目の映画(ドキュメンタリー)準備中と瀬戸内国際こども映画祭・綜合プロデユーサーについても最後で少し触れる予定です。 とのこと。肩書きのプロデューサーが「プロデユーサー」になっている(dhuで「デュ」と打つ術を知らないから?)のがお茶目。「どきめきインタビュー」と案内にはあるけど、正しくは、「ラジオビタミン」という番組内の「ときめきインタビュー」コーナー。でも、魔女田さんの爆弾発言にはらはらどきどきで、どきめきになるかも。「NHK側は 放送禁句用語をなるべくしゃべらないようとのこと。心がけます」と益田さん。その昔、NHKの地方局でラジオのパーソナリティをしていた益田さんは、中継でレポーターが「男性の身体のとある部分をかたどった氷」の話題を紹介したとき、スタジオから「その氷、なめると大きくなるんでしょうか」と思ったまんまの天然ボケ発言を放送に乗せた前歴がある。でも、益田さんのぶっとびリアクション以前に、中継で取り上げたのも意欲的。どきめきインタビュー、何が飛び出すか、乞うご期待。「10時から11時45分頃まで」「約40分間」というのも矛盾しているので「10時45分頃まで」が正解? |
2008年09月13日(土) 大阪・北浜『五感』のVIPルーム