2009年04月21日(火)  魔の二歳児の阿呆踊りと「アフォーダンス」

4月16日の読売夕刊で「アフォーダンス」という言葉を知った。乳幼児が周囲の環境を利用しながら成長する過程を環境の側からとらえる試みが紹介されていて、たとえば「赤ちゃんがタンスでつかまり立ちできるようになる」を、「タンスは赤ちゃんに対してどのような役割を果たしているか」と検証する。このとき、タンスにつかまることによって赤ちゃんが立てたことを、「タンスのアフォーダンス」と呼ぶ。

アフォーダンスは「〜するチカラがある」を意味するaffordから派生した言葉(綴りはaffordance?)で、「人間などの動物に、何らかの動作を可能にさせる環境的な要素のこと」と記事では定義されていたが、手頃なネーミングはないものか。ダンス(箪笥)に引っかけて、「動作引き出し」はどうだろう。

子育てにおいては見方を変えると気が楽になることが多いが、子どもの動きをモノ側からとらえてみるという発想の転換は、知的好奇心も刺激してくれる。もう少し早く知っていれば、寝返りやハイハイができるようになるまでを観察する楽しみがふえたのにと残念だけど、今からでもアフォーダンス的視点を取り入れてみよう。

わが家の魔の二歳児娘は、このところ床掃除用のコロコロローラーがお気に入りで、長い柄を如意棒のごとく振り回して物をなぎ倒したり、壁をドラムにしたり、注意した親にも襲いかかったりと、手のつけられない孫悟空になっている。ベッドの下に隠しても、いつの間にか見つけ出し、また振り回す。これもアフォーダンス的視点でとらえれば、柄つきローラーの存在が「握る」「振り回す」「叩く(奏でる?)」「攻撃する」「隠されたことに気づく」「探す」「ベッドの下をのぞきこむ」「手を伸ばす」「取り戻す」といった動作を引き出していることになる。「悪知恵を働かせる」という困った成長もアフォーダンスの賜物。そう考えると、迷惑千万な孫悟空阿呆ダンス(踊り)も少しはありがたくなる……気がする。

話はちょっとそれて、テレビのニュースや新聞でも騒がれている「一夜にして有名になった普通のおばさん」スーザン・ボイルさんの出演映像をYouTubeで観た。「垢抜けない」風貌であるという先入観以上の冴えないおばさん(第一印象はおじさんのようでもある)がタレント発掘番組に登場。見た目も受け答えもショービジネスの世界から最も遠いところにいるような彼女から放たれる天使のような歌声のギャップに、冷ややかだった観客や審査員が心底驚き、身を乗り出して行く。5分強の間に大どんでん返しを見せてくれるシンデレラストーリー。選んだ曲が「I DREAMED A DREAM」(夢破れて)というのも出来過ぎ。どんな名脚本と名女優の組み合わせも実話にはかなわないなあとしみじみ感心するとともに、歌のチカラも再確認。朝ドラ「だんだん」の「いのちの歌」も、「みんなのうた」の「あなたがすき」(大地真央さんの声がまた良い!)も、流れてくるだけで涙腺が緩む。年を取ると涙もろくなるというのはほんとで、心の共鳴装置のスイッチがすぐ入ってしまう。

2008年04月21日(月)  マタニティオレンジ271 本を破った。はじめてぶった。
2007年04月21日(土)  マタニティオレンジ109 ご近所仲間とたま8/12才
2002年04月21日(日)  貧しい昼食

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