娘のたまを連れてシルク・ドゥ・ソレイユ『ZED』を観に行く。子ども連れOKとなっているけれど、大人っぽい内容だし、子どもには怖がったりわかりにくかったりするかもとためらいはあった。でも、夏に登場ディズニーシーのショーを食い入るように見ていたのを思い出し、膝に乗せて鑑賞(椅子がいらない3歳未満児は無料)することに。結果は予想以上の食いつき。たまはまばたきも忘れて舞台に吸い寄せられていた。人間離れした綱渡り(綱の上での縄跳びや宙返りに仰天!)やジャグリングに親のわたしはハラハラしているのに、たまは「人いっぱいいるね」「ぐるんぐるんしてるね」「ぶーらんぶーらんしてるね」などと拍子抜けするような大らかな反応。初めてのサーカスを、たっぷりの親近感を抱いて楽しんでいた。
幕間の30分休憩に外に出ると、ちょうど東京ディズニーランド/シーの花火が見られるようになっている。たまが興奮しながら叫んだ言葉は、「セピー!」。わたしとダンナの友人セピー君の鎌倉のセカンドハウスで夏に花火を見たことを覚えていたことに驚く。今夜のサーカスも記憶に残って、のちのち取り出せるといいなと思う。
帰り道。駅貼り広告を見ていて、たまがふとつぶやいた「ハートばたけ」という言葉がヒントになって子守話が生まれた。わたしのハート好きを受け継いで、街でハートを見つけると、たまはうれしそうに指差す。数日前にドイツから贈られてきたクリスマスプレゼントの包装紙にハートがいっぱい並んでいたのが印象に残っていて、「ハートばたけ」なんて名前を思いついたのかもしれない。「ハート」と「はたけ」の結婚、はじめてのサーカスを見て、言葉のくっつく力が強くなったのかなとも想像する。
子守話33 ハートのはたけ
たまちゃんが、おさんぽのとちゅうで、ハートのたねをみつけました。おにわにうえてみると、たねとおなじあかいろをしたハートがみのりました。そのハートを、たまちゃんはとおりがかったおんなのこにあげました。
なんにちかして、おんなのこが、おかあさんといっしょに、たまちゃんのおうちにやってきました。ハートの「み」から、たねがふたつでてきました、とおんなのこがたねをさしだしました。ひとつはさいしょのたねとおなじあかいろで、もうひとつは、きいろでした。あかときいろのたねを、たまちゃんがおにわにうえると、あかときいろのハートがみのりました。たまちゃんは、とおりがかったふたごに、そのふたつのハートをあげました。
なんにちかして、ふたごが、おとうさんとおかあさんといっしょに、たまちゃんのおうちにやってきました。あかいハートからはあかとあおの、きいろいハートからはきいろとみどりのたねがでてきたのです。あかとあおときいろとみどりのたねを、たまちゃんがおにわにうえると、あかとあおときいろとみどりのハートがみのりました。たまちゃんは、とおりがかったおとうさんとおかあさんとおとこのことおんなのこの4にんかぞくに、その4つのハートをあげました。
なんにちかして、4にんかぞくがおじいちゃんとおばあちゃんをふたりずつつれて、たまちゃんのおうちにやってきました。あかいハートからはあかとももいろの、あおいハートからはあおとむらさきの、きいろいハートからはきいろとだいだいいろの、みどりのハートからはみどりとしろのたねがでてきたのです。
8つのいろのたねをたまちゃんがおにわにうえると、たねとおなじいろをした8つのハートがみのり、ふたつずつたねがでてきました。とおりがかったひとが、ハートをもらっては、たねをもってもどってきて、ハートのいろは16になり、32になり、64になり、とうとうかぞえきれなくなりました。
たまちゃんのおうちのおにわは、ハートのはたけになりました。いちごやトマトみたいにたべることはできませんが、はたけいちめんのハートをながめていると、ごちそうをたべたときのように、しあわせなきもちになれるのでした。 |
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