『ゲゲゲの鬼太郎』のマスコミ試写を観るため、ひさしぶりに東銀座の松竹へ。子どもの頃、何度言っても「ゲゲゲのゲ太郎」と言い間違えてしまったが、あのアニメの世界がどんな風に実写になっているのか、まさに「怖いもの見たさ」で客席に着く。結果から言うと、すごくよくできている。この妖怪にはこの人しかありえない、というような絶妙なキャスティング(川村恵)と、完成度の高い衣装デザイン(ひびのこづえ)と特殊メイク(江川悦子)の合わせワザで生まれた妖怪たちは実にチャーミングで、見ているだけでうれしくなる。ウエンツ瑛士の鬼太郎、田中麗奈の猫娘、室井滋の砂かけ婆、間寛平の子なき爺、どのキャラも見事にはまっていたが、妖怪度私的ベスト3を挙げるなら、西田敏行の輪入道(画面いっぱいの顔面の迫力に目が釘付け!)、YOUのろくろ首(こんなに長首が似合ってかわいい人はなかなかいない)、大泉洋のねずみ小僧(あまりに素顔となじみすぎて、演じていることを忘れさせるなりきりぶり)。役者さんたちが皆ノリノリで演じている雰囲気が伝わってくる。撮影現場はどんなことになっていたんだろう。見たかった。
妖怪狐のリーダー格、空狐を演じていた妙に存在感のある役者さんは橋本さとしさん。以前、舞台『シンデレラストーリー』で宮廷大臣ピエールを演じていた人(>>>2005年5月27日の日記)。「この人は誰!」と二度驚いたから、もう忘れない。いちばんわたしの心をとらえたキャラクターは、目玉おやじ(声はアニメと同じく田の中勇)。画面に出てくるたびに何をしでかしてくれるか、目が離せなかった。小さな手足を懸命に動かして感情を訴えるしぐさが、何とも言えず愛らしい。持ち帰ってお椀のお風呂に入れたい! とにかく、妖怪の豪華大競演だけでも一見の価値あり。子どもは無邪気に面白がるだろうし、大人には芸の細かさを観察する楽しみがある。
脚本は羽原大介さんと本木克英監督。わたしが勝手に実証している「ハバラダイスケ作品にハズレなし」の法則は『フラガール』に続いてまたしても記録更新。突然の悲劇に見舞われる父子家庭の姉弟(井上真央・内田流果)を救おうとする鬼太郎が妖怪の反発を招いて窮地に陥るというストーリー展開で、アクションをふんだんに取り入れつつ、要所要所でしっかり笑いを取り、最後には人情をにじませ、なんとも贅沢なエンターテイメントに仕上がっている。
エグゼクティブプロデューサーの榎望さん、プロデューサーの石塚慶生さんは『子ぎつねヘレン』のプロデューサー。狐の妖怪が大暴れするのはそのせいではないと思うけれど、思わぬ場面で、ヘレンとのコラボレーションを発見。お、こんなところに……! 子ぎつねヘレンを観た人なら、見つけてうれしくなってしまうはず。そのヘレンが今月、地上波に登場するそう。21日(水・祝)の21時よりテレビ東京にて放映。普段は水曜ミステリー9の枠。祝日なので家族揃って観てもらえるとうれしい。話題がそれてしまったけれど、ゲゲゲの鬼太郎は4月28日公開。
2006年03月06日(月) ヘレンウォッチャー
2005年03月06日(日) 傑作韓国映画『大統領の理髪師』
2002年03月06日(水) 家族