日記の更新が遅れているのは、確定申告に時間を取られていたせいだ。毎年この季節になると、「青色申告にしたほうが、たくさん戻ってくるんだろうか」「税理士さんにお願いしたら、いくらぐらいかかるんだろう」などと迷いつつも、提出期限が目前に迫っているので、自力で片付けてしまう。便利なソフトが出ているとはいえ、「帳簿をつける」という面倒くさそうな響きに二の足を踏み、いまだに白色申告。領収書の提出などは求められないけれど、抜き打ちで査察が入ったときのために、経費はきっちり計算して出す。これもエクセルにすればいいものを、領収書やレシートの金額をいちいち電卓に打ち込んだ結果を手書きでメモし、それを項目別にまとめてワードに打ち込むという超アナログなやり方。こんなことやってる間にプロットのひとつでも書くべきではないか、と思う一方で、年に二、三日ぐらい、ひたすら電卓を叩く日があってもいいじゃないか、と自問するのも毎年恒例。今年は片手で乳飲み子をあやしながら片手で電卓を叩くので、例年の倍以上の時間がかかり、一週間を確定申告週間にあててしまった。
電磁波が怖いので、子どもを抱いてパソコンの前に座ることは避けている。子どもを寝かしつけてから、国税庁のホームページを開いて申告表に入力。画面に金額を打ち込むだけで計算してくれるので助かる。雑所得の収入内訳の欄に、この一年仕事した会社の名前と所在地と金額を打ち込みながら、この企画は成立させたかったとか、あのプロデューサーは元気かなあとか、悔しがったり懐かしんだり。企画がボツになるのは悲しいけれど、お金をもらえるようになったのはせめてもの救い。会社員の給料に雑所得の原稿料が混じるようになったのは、平成11年。確定申告のやり方がよくわからず、申告するようになったのは13年から。6桁だった雑所得が7桁になり、給料の4分の1になり、3分の1になり、給料を追い越した平成17年度に会社を退職した。
はじめて給与所得が0になった平成18年度、雑所得は過去最高になり、会社にい続けて受け取ったであろう年収の約3倍に。その半分以上は映画『子ぎつねヘレン』の著作権使用料と関連本の印税なので、来年はどうなるかわからない。だから原稿料や印税は「変動所得」といって、「平均課税」を適用できる。「18年度の変動所得(収入から必要経費を引いたもの)」から「前年度と前々年度の変動所得の平均」を引いたものが「変動所得の平均額」として、平均課税の対象額となる。細かい計算式はわたしの説明能力を超えているけれど、要は「浮き沈みの激しい収入」に見合った「やさしい税率」をかけてもらえる仕組みになっている。申告用紙の注意書きには「変動所得の種目の各欄には、漁獲、のり、はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝、真珠、真珠貝、印税、原稿料、作曲料などと書きます」とある。いつ引っかかるかわからない獲物を狙って釣り糸を足らしたり網を広げたり……脚本家の仕事には確かにそういう側面がある。
2005年02月27日(日) 1975年のアカデミー賞映画『カッコーの巣の上で』
2002年02月27日(水) 世の中は狭い。いや、世界が広くなったのだ。