窪島誠一郎さんの言葉に、やられっぱなし。『信濃デッサン館日記』を読んでいると、思わずうなってしまう発見がそこかしこにある。サンフランシスコを訪れた窪島氏は、次々と信州人に会い、中には共通の知人でつながっている人もいた偶然に「世の中は狭い」と驚くのだが、その後に「いや信州は広いというべきか」と続ける。鮮やかな視点の変換。
そうか、最近やたらと世の中狭いなあと感じるようになったが、それは世間が狭くなったのではなくて、わたしの世界が広くなったということなのだと膝を打つ。顔見知りが増えると、友達の友達や知り合いの知り合いに遭遇する確率は高くなる。年は取ってみるものだ。とすると、まだまだ世界は広くなるのかな。