シナリオ作家協会がやってるシナリオ講座の創作論講義で昼夜2時間ずつ話す。4月25日に「人生はネタの宝庫」をテーマに話して以来半年ぶりの2回目。今回は「『原作もの』の脚本レシピ」。今年放映あるいは公開された脚本作品5本のうち4本が原作もの(あと1本はサスペンスドラマ『ドクター・ヨシカの犯罪カルテ』)。原作といってもさまざまで、1月に放送されたドラマ『ブレスト〜女子高生、10億円の賭け!』は、わたしの原作『ブレーン・ストーミング・ティーン』を脚本化。3月公開の『子ぎつねヘレン』はノンフィクション『子ぎつねヘレンがのこしたもの』、7月期に放送された深夜連続ドラマ『快感職人』は漫画、10月21日から公開中の『天使の卵』は『小説が原作。「まず、使いどころを見つける」「訴えたいメッセージを決め、そこから逆算して人物やエピソードを組み立てていく」といった方法論を料理にたとえ、「原作という素材の良さを活かし、おいしく食べられる映画やドラマに仕上げるのは、料理人である脚本家の腕の見せどころ」「同じ素材を使っても、調理法やスパイスの使い方で料理人の個性が出る」と話す。「原作を読んだら、なるべくすぐ第一印象をプロデューサーに伝え、熱を共有する」といった心構えも紹介。
脚本家をめざす人たちだけあって、皆さん熱心に聞き、質問も活発に出る。「原作が史実の場合、どうやって脚色すればいいか」「ドラマや映画での禁句は?」「気分が乗らない原作の場合は?」などなど。それぞれ「誰の視点で描くかによって、同じ歴史上の事実でも違ったドラマになる。繰り返し映像化されている忠臣蔵のように。キャラクターを肉付けすることでも、ドラマに深みが出る」「テレビは放送コードに引っかかる表現は使えない。映画も観客の反応や反響を考えて表現を吟味している」「苦手なジャンルでも、どこかに自分との接点がないか探る。せっかく声をかけてくれたプロデューサーに応えたいという気持ちもある。難しそうな素材ほど、うまい調理法が見つかると攻略感がある」といったことを答えた。わたしは勘違いからデビューして、出会いに恵まれて今も書き続けている。デビューするチャンスは誰にでもあるし、自分の脚本がカタチになる楽しさをぜひ味わってもらいたいと思う。
去年研修科で教えた生徒さんが二人聞きにきてくれ、研修科の有志からという出産祝いを受け取る。布の人形とボールで遊べるボーリング。三週間に一度、半年だけの講座だったけれど、今でも「先生」と慕ってくれるのがとてもうれしい。
昼と夜の部の間に空いた3時間は、お茶して過ごす。4月の講義のときに見つけた「ピルエットカフェ&バー」と8月に見つけた「ファンソンカフェ」をハシゴ。出産後はじめて、2か月半ぶりのカフェめぐり。