■お芝居を観に行って楽しみなのは、折込のチラシ。仕事柄自分がチラシを作る側でもあったりするのでデザインやコピーへの興味はもちろんあるけど、単純に読み物として面白い。裏表で完結するショートショートを読む感覚。わたしは全部目を通して、「あの役者さん、これにも出てる」と発見したり、知り合いの次回作を見つけたりして楽しんでいる。次に観に行くお芝居もチラシで選ぶ。金曜日に行った『絶対王様』の公演は、いつにも増してチラシが多く、厚みにして1センチ以上あった。中身を見てその理由を知る。「絶対王様 笹木彰人より皆様へ」の活字ではじまる手書きのペラによると、「小劇場は宣伝のツールとして『折りこみ』が大きなウェイトを占め」ているがゆえに、希望する劇団さんのチラシをできるだけ断らないようにしてきた結果なのだそう。趣味が合わないチラシはければ席に残してもらえれば絶対王様が処分するが、気に入ったチラシは持ち帰って劇場に足を運んでほしい、と扱い方まで丁寧に書いてあり、「東京には面白くない劇団は星の数ほどありますが、おもしろい劇団もたくさんあります。このたくさんのチラシから新しい出会いが生まれる事を切に希望致します」と結んである。このお断りチラシが今回の一番のヒットだった。■映画のチラシももちろん好きで、中学生の頃は洋画のチラシやパンフやポスターのポストカードを集めていた。ストーリーを一枚で表現するキービジュアルを眺めているのが好きだったし、そこに入っている気のきいたキャッチコピーにも惹かれた。わたしが絵を描いたり広告会社に入ったり脚本を書いたりするようになったはじまりは、チラシだったのかもしれない。
2002年03月15日(金) 月刊公募ガイド