■『月刊公募ガイド』という雑誌がある。コンクール情報(ハガキで応募できるお手軽ものから文芸、写真、アート、料理などなど)、入賞のノウハウ、輝かしい受賞作品、受賞者の言葉、第一線で活躍する人たちのアドバイスなどがギッシリ詰まっていて、好きなことを極めて賞金やプロの座を射止めたい人にはサイコーの手引書である。ここまでヨイショするのは、コピーもシナリオも公募ガイドに教わったから。わたしにとって母校ともいえるこの雑誌に、今日取材を受けてきた。8年前に一度取材していただいた時は『公募ファン』というページだったが、今回は『シナリオライターのお仕事』というカッコいい連載ページの一回分を飾ることになっている。■取材は渋谷の喫茶店で編集者さん、ライターさん、カメラマンさんと女性ばかりで和やかに進行。4月9日売りなので、27日公開の『パコダテ人』を紹介するには絶好のタイミング。ストーリー発想の裏話、前田監督のシナリオ発掘、映画化にこぎつけるまでの道のり、函館市民の協力、全国に広がる応援の輪……幸運な出会いに恵まれ、世界が広がってきたエピソードを披露する。昨日プレス試写を見たばかりのライターさんが「この映画をつくる過程そのものがドラマですね」と熱心に耳を傾けてくださるので、気分がよくてついつい話しこみ、1時間の予定時間を30分オーバーしてしまった。写真撮影は「なるべく引きで撮ってくださいね」とお願いし、バッグにつけたピンクのシッポを強調。カメラマンさんは、シッポが風になびく瞬間を狙ってくれた。■取材後、「今井さんからお便りを受け取って、わずか1週間。まさに引かれ合っているとしか思えません」と編集者さんからメール。「次号は誰を取材しようか」と彼女が考えあぐねていたところに、「公募ガイドから生まれた映画のご案内です」と封筒にデカデカと書かれたパコダテ人試写状が届き、すぐさま取材を申し込んだとのこと。こちらこそ、シナリオを書くきっかけをくれ、函館の映画祭の存在を教えてくれ、『パコダテ人』誕生に導いてくれた雑誌に紹介してもらえるとは、願ってもないことだった。相思相愛の取材の成果をお楽しみに。