益田祐美子さんとの合同誕生会を開いていただく。事の起こりは2月9日。監修をお願いされている益田さん著の「金太本」(『風の絨毯』にも出た平成の祭屋台に私財を投じた平成の旦那・中田金太さんの生き方本)のとりあえずの原稿が送られてきたのだが、「全然取材が足りない。こんな内容だったら、益田さんじゃなくたって書ける!」と率直な感想とともに「このまま出版するのは危険。締め切りぎりぎりまでもっと突っ込んで取材しないと!」とハッパをかけた。すると、「でも、23日までには原稿を上げたいの。その日は私の誕生日で、メンズクラブで飛騨牛を食べて祝うのよ」とノー天気なことを言っている。「わたしだって今日誕生日なんだけど」と言うと、「わかった!23日は合同誕生会にしよう。だからそれまでに頑張ろうよ」といつもの魔女田節で言いくるめられ、「飛騨牛パワー」を合言葉に金太本の仕上げに総力を挙げることになった。
土壇場で発揮される益田さんの底力はさすがで、2週間足らずの間に金太さんからいい話をどんどん聞きだした。温泉を掘った気になっていたのをさらに掘り進むと、いいお湯を掘り当てたといった感じで、内容は乞うご期待。今朝未明原稿用紙200枚分が何とかまとまり、無事飛騨牛にありつけることになった。
益田さんの言う「メンズクラブ」はホストクラブではなく、内幸町の「シーボニア メンズクラブ(Seabornia Mens Club)」という由緒正しき(since1974)会員制レストラン。奥の個室に通されると、ドキュメンタリー映画『平成職人の挑戦』の乾弘明監督、製作の山下貴裕さん(乾監督の花組と山下さんのスリー・アローズが製作を担当)、はじめてお会いする岐阜県人会理事の宮本悠美子さんと配給のリュックスの小田部優さん、プロデューサーの益田さん……どうやら元々は映画の慰労会だったようだが、映画公開にあわせて出版される金太本も無関係ではないので仲間に入れていただく。
そしてもう一人、「ここをやっています」と挨拶されたダンディーなおじさまは、シーボニアをはじめ数々のレストランを展開している株式会社ピットコーポレーションの田邊勉社長。「9000円のチケットを800枚売ったこともある脅威の人脈の持ち主で、平成職人のチケットをすでに500枚売った」宮本さんとは、「ハンカチがびしょ濡れになるほど泣ける」ソプラノ歌手の下垣真希さんを通じて知り合い、「かつて映画と映画館を作る仕事をしていて、日本中に映画館を40館作った」小田部さんとはセゾングループ時代の仲間なのだそう。「田邊さんは日本の音楽文化を作ってきたんですよ」と言う小田部さんに促されてヤマハでポップコンをやっていた頃の逸話を聞かせてくださるが、よく整理された記憶の引き出しを年代順にひとつずつ開けていくような話はわかりやすく面白く引き込まれる。「話がちゃんと流れている!」と感心していた益田さんは弟子入りすべし。
メニューは月替わりで、飛騨高山生まれの益田さんの誕生日に合わせたかのように今月は「飛騨会席」。メインの牛肉をはじめ、飛騨のうまいものがちりばめられている。(写真左から炊合せ 強肴 食事)。期待の飛騨牛は焙ってほどよく脂を落としたジューシーな肉が口に溶けるようで幸せ度高し。メニューはすべて試食して決定するという田邊社長の解説も加わり、なおさら楽しい食事となる。昨夜「私が東京行ってみんなをごちそうする」と言いだした金太さんに「あらためて高山で飛騨牛をごちそうになります」と伝えた益田さんが電話をかけ、携帯を回して一人一言話す。心地よいピアノの生演奏は、西本梨江さん。『戦場のピアニスト』の曲をという山下さんのリクエストを田邊社長直々に伝えていただくと、ショパンのノクターンが流れてきた。楽譜は頭に入っているそう。作曲も手がけられ、国連食糧農業機関(FAO)親善大使として世界食糧デーキャンペーンのコンサートにも出演されたとのこと。
食後のデザートになったところでバースデーケーキが登場。宮本さんが気を利かせてくれたそうだが、チョコレート文字に初対面のわたしの名前も入っていたことに感激。この気配りが魔女田さんもびっくりの人脈につながっているのかも。5月にKKロングセラーズから出される予定の「金太本」のタイトルは『お金も幸せも上手に太らせる金太力』になりそうだが、本の中で金太さんは「出会いは宝、財産」と語っている。益田さんから広がる人脈、珍脈(益田さん命名)のおかげで、今夜もまた幸せ太り。
2002年02月23日(土) 連想ゲーム