■今年最高の魚を釣った!ついにキャッチしたビッグ・フィッシュは、膨らんだ期待と想像以上にすばらしい作品。脚本(分厚い!)を読んだときは、話が行ったり来たりなので、これをどうやって成立させているんだろう、と不思議だった。でも実際の映画では、話が時代を飛ぼうと国を飛ぼうと、空想と現実が入り混じろうと、途中で振り落とされることはなかった(餌に食いついた魚のように!?)。冒頭、Big Fishとタイトルが出るまでのアバンタイトル部分ですでに「この世界、好き!」。幻の町スペイシーの裸足、サーカスの時間が止まってから加速するところ、一面の水仙の中のプロポーズ、夢のある世界を描く色彩がほんとにきれい。夢を絵に描いたらこんな色になる、というリアリティがあって、信じられるファンタジーになっている。夢のようなエピソードをつなげるだけじゃなくて、ラストにちゃんと収束して、父と息子の物語に着地しているところに拍手。わたしは映画の中でも「死」はなるべく見たくないし描きたくないと思っていたけど、死ぬことや葬式がファンタジーになるんだ、とびっくりした。子どもの頃に魔女の義眼の中に見た「自分の死にざま」を宝物のようにして大きくなった父にとって、死ぬことは「魔女の予言を確かめる」という最後に遺された楽しみだったのかもしれない。葬式に集った顔ぶれを見ていると、「人生なんて、おとぎ話さ」というキャッチフレーズがしっくり来た。みんなが自分のおとぎ話を生きていると思えたら、もっとまわりのものが愛しく見えたり、人にやさしくなれそうな気がする。原作も読んでみたい。■長編監督デビュー作が『ピーウィー・ハーマンの大冒険』と知って、ますます好きになったティム・バートン監督。2005年公開の『CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY(チャーリー・アンド・チョコレート・ファクトリー)』(『夢のチョコレート工場』リメイク版)が待ち遠しい。『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』デジタルリマスター版は10月23日から公開。東京ディズニーランドのホーンテッド・マンションが『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』バージョン(ホリデーナイトメアー 2004年9月15日〜2005年1月10日)に変身するのも注目。■下高井戸シネマは下高井戸に住む同僚が「あそこはいいよー」と言っていた通り、感じのいい映画館。ロードショーの終わった作品を少し遅れて観られるよう。先週は『グッバイ・レーニン』をやっていたそう。惜しい! 近くに気のきいたカフェがあれば最高、と思って30分ほどウロウロしたけれど、見つけられず(どなたか知りませんか)。カフェと見まがう美容院が多い町だった。