2003年11月06日(木)  よかったよ、ガキンチョ★ROCK

いつもアホな冗談言い合っているが、作品を見せられると、「この人、すごい人やったんやー」と思い知らされるのが前田哲監督。今日シネフロントで見た新作ガキンチョ★ROCKは膨れた期待を上回る勢いで面白かった。前田作品は毎回とてもチャーミングだけど、今回は監督が普段からおどけて言っている「オッス! メッス! キッス!」に象徴されるように、前田色が濃く出ていて、登場人物たちのダメな部分であり愛せる部分にも前田さんの目線を強く感じた。大阪弁の映画は大好きで、それだけで点数が3割増しになるが、観ている途中はワクワクドキドキして、観終わるとスキッとする、爽やかでハートウォーミングな作品になっていた。

ロックバンドが主人公で全編が音楽に彩られ、ミュージカル仕立てになっているシーンもあるのだが、使われている歌がどれもぴったりしっくり、東京国際映画祭でのリージョナルフィルム上映ということでつけられた英語字幕の歌詞も見事にはまっていた。中島みゆきの『時代』にだけ字幕がなかったのは残念。許諾の関係なんだろうけど、外国人の観客さんも歌詞の意味がわかったら泣けただろうなあと思った。『時代』のシーン、わたしはボロ泣き。

キングコングの西野亮廣さん、梶原雄太さん、ロザンの宇治原史規さん、菅広文さん、彼らの憧れの比呂美ちゃん役の清水ゆみさんも等身大で生き生き、キラキラと演じていて大好感。アイドル歌手になりきったチュートリアル徳井義実さん、警官役の田中要次さん、御曹司役の山中聡さんなど、クセのあるキャラたちからも目が離せない。登場人物の個性が際立って見えるのは、衣装デザインの小川久美子さんの魔法も、もちろん入っている。今回もかわいかったなー、衣装。

上映の後はトーク。監督、キングコング、ロザン、清水ゆみさんの5人に田中さん、山中さんら「キル・ビル出演組」4人が加わり、大盛り上がり。観客はキングコングとロザンのファンの方が多かったようで、リアクションが大きく、気持ちよくそのノリに巻き込まれた。後でわかったことだけど、MCの女の子は、友人ミナのホームパーティーで一度会っていた安田佑子さん。映画大好きな人で、『パコダテ人』も観てくれていた。

出口のところで田中要次さんを見かけて、「パコダテ人の今井です。ジェニファもゲロッパも見ました」と声をかけたけど、きょとんという顔をされていた。たぶん忘れられている。覚えてもらうよう、まだまだ書かないと。なんだか、とても映画を作りたくなった夜だった。

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