■フランスから来日中のシンクロ選手、ビルジニー・デデューさんが顔見せのために来社。まずは2003世界水泳・バルセロナでソロ金メダルを獲得した「芸術点オール満点の演技」をビデオで鑑賞。技の完成度といい、しなやかな動きといい、豊かな表現力といい、完璧。ソロはオリンピックの正式種目でないのがもったいない。シンクロにはつきものの鼻栓をしないことでも知られる彼女、鼻に水が入って息苦しくなったことはなく、鼻や耳の炎症に悩まされたこともないとか。(フランスでは「鼻が悪くなければ耳、耳が悪くなければ鼻、どちらかが悪くなる」と言うらしい)。恵まれているのは身体だけではなく、類まれな美貌の持ち主。広告業界が放っておくはずはないが、映画からもオファーがあったそう。ただし本人は演技することにはあまり興味がないようで、「広告出演で世界を広げたい」意向のよう。■長い手足を活かした演技からは大柄な人を想像していたが、身長164センチと日本人にも親しみやすいサイズ。「ピチェンヌ(おちびちゃん)」と呼ばれる小柄な体に秘めたパワー。顔には知性があふれている。大学では建築を学んでいて、絵を描くのが好き。ふだん持ち歩いている手帳は、町の風景や建物や人物など味わいのあるスケッチで埋めつくされていた。「水の女王」でありながら、それだけにとどまらない。アスリートでありアーティストである彼女は「"possibility"の人」。名前のVirginie Dedieuはフランス語で「聖なる神」を意味するのだそう。■集まった社員は興味津々。次々と質問が投げかけられた。「ソロの振り付けは自分で考え、コーチにチェックしてもらった。曲を聴いていると自然にイメージが浮かんだ」、「演技のときは、いつものメイクをちょっと濃い目にするだけ。でも落ちない」「水に長時間入ると肌が乾燥しやすいので、気をつけている」など興味深い話を聞けた。世界陸上のおかげで、日本での知名度はフランス以上。シンクロ人気は日本のほうが上だし、フランスには日本のような大型ビジョンもないし、とのこと。今回の来日ではサインを求められることも多かったとか。話し方は落ち着いていて、年齢以上に大人っぽい印象を受けた。個人的にも心ひかれる人だった。
2002年09月17日(火) 宮崎映画祭『パコダテ人』上映と手話