■自分と一字違いということで一方的に意識している今井雅之さんのお芝居『MAKOTO〜ゆく年くる年〜』を観に行く。坂本龍馬や土方歳三の生まれ変わりが現代を舞台に活躍する話と聞いていたので、派手な舞台装置を想像していたら、舞台に置かれたのは階段だけ。車輪のついた可動式の階段が4台。その配置の違いで舞台は暴走族の集会場になり、バスの停留所になり、紛争に揺れる大学になり、機動隊の訓練所になり、国会議事堂になった。鮮やかに転換する場面設定同様、登場人物の置かれる立場も大胆に変化するのだが、無理なくついていけた。途中、何か所か明らかに「即興芝居」のシーンがあり、いきなり台詞を振られた役者の力量の見せ場となる。750名の観客を前に役者がその場で台詞をつくる緊張感が面白い。アドリブでしっかり笑いを取りつつ、固い友情で結ばれたかつての暴走族仲間4人が『新・日米安全保障条約』締結に反対する学生運動に加わる側と、それを制圧する機動隊側に分かれて戦わざるを得なくなったという切ないストーリーは進んでいく。力のある役者ぞろいでないと、今どこにいるか見失ってしまいそう。いろんな意味で感心させられた。■芝居を観ると、「観るより作りたい!」という気分が高まる。出演している岡安泰樹さんとは一諸に舞台をつくる計画がある。今は「どういうのがいいですかねえ」と話し合っている段階だけど、この公演が終わったら本格的に話を詰めていこうという予定。上演後、楽屋を訪ね、観終わったばかりの興奮を岡安さんに伝え、「いいもの作りましょう」と話す。