■コンクールに出していた頃は、月一本のペースでシナリオを書いていた。ある人に「それは薄利多売ですよ。ひとつの作品にじっくり取り組みなさい」と言われてから、ペースを落としたけれど、今振り返ると、すごいエネルギーだったなと我ながら呆れる。ローマ字を覚えたての頃、身の回りの物を手当たり次第アルファベットに置き換えたように、シナリオという表現手段を知った当初は何でもドラマの形にするのが楽しくてしょうがなかった。そういう新鮮さから沸いたエネルギーだったのだろう。■2002年10月は短編のシナリオを1本、テレビドラマの企画を3本、ラジオドラマの企画を5本書く。熱意は見せたいけれど、下手なものを出すと、かえって逆効果。今までの作品を見て期待してくれた人に「この程度のものしか書けないのか」とがっかりさせてしまうことになる。スピードと完成度のバランスが大事。ニュースではドラマよりも劇的なことが次々と起こっている。フィクションが現実を越えるのには何が必要なんだろうと考える今日この頃。