『レイズライン』という不思議な映画に出会った。同僚の友人のダンナの福谷修さんが脚本・監督した作品という縁で、インディーズムービー・フェスティバル入選作品のプレミア上映を案内してもらったのだ。インディーズムービー・フェスティバルは全国から公募した作品から入選作品をビデオ化し、TSUTAYAでレンタルしたり、衛星劇場で放送したりし、その実績やネット投票の結果で「次回作のバックアップを受けられる作品製作者」を選ぶというユニークなコンテスト。作品の実力で映画の道を切り開くというのが、いい。名前に覚えがあると思ったら、横山亮子ちゃんのダンナのヨシキ君が撮った『現金に手を出すなら体を張れ』は、去年の入選作のひとつだった。
短編をいくつか観た後で、お目当てのレイズライン。舞台は中央線。何度も乗ったことがあるが、「中央線にこんな場所があるの?」「こんな景色が見えるの?」と驚かされる絵が何度も出てきた。日本では電車や駅での撮影は規制が厳しいらしく、そんな現状への批判も込めて、中央線を題材に隠し撮りとゲリラ撮影を敢行したという意欲と行動力に、拍手。リアルさと今の空気がよく出ていた。ストーリー的には、もう少し山場があってもいいのかなと思いつつ、この淡々とした感じが中央線なのかなと思い直したりもする。この作品は、イイ線行くんじゃないだろか。
レイズラインは、台詞が自然だったが、インディーズ作品を観ていると、「こんな話し方、絶対しない」という人物が出てくることがよくある。設定が中世のヨーロッパか大正時代の華族ならありえるのかもしれないが、女たちがみんな「〜だわ」調で話していると、変な空気を生んでしまう。ふつうの言葉のほうが感情移入しやすいんだけどな。