■間違い電話のおかげで、ひさしぶりにさおりと話をする。携帯電話で近くに登録した人にかけるつもりだったようだ。小学五年のときの家族旅行で蓼科に行ったとき、地元の五年生が授業で観光客にアンケートを取っていた。余白に住所を書いておいたら、返事をくれたのがさおりだった。そこから文通がはじまった。今みたいにメールで気軽に全国の人と知り合える時代ではなかったので、一通一通が刺激的だった。さおりの学校では、運動場に水をまいておくと、翌朝にはスケートリンクに変身するのだ!はじめて生身のさおりに会ったのは、修学旅行で蓼科を訪れた中学三年の秋。クラスメートに「わたしってどう見える?おかしくない?」と何度も確認し、感動の面会。思った通りの女の子だった。さおりも失望しなかったのか、つきあいは今日まで続いている。大阪と長野にいた二人がなぜか今は東京にいて、去年は一時期、同じビルで働くという偶然もあった。不思議な縁だと思う。■函館のハンバーガーショップ『ラッキーピエロ』から葉書が来ていた。映画祭で訪れたとき、アンケートに「パコダテ人でお世話になりました」と書いたのだが、その返事らしい。印刷の定型文の余白に「映画完成おめでとうございます」と書き添えられているのがうれしい。97年に出会って以来のラッピファンだが、ますます好きになる。オリジナルのシナリオにはなかったが、主人公たちの行きつけの店をどこにしようという話になって、「ラッキーピエロがいい!」と言ったのを、監督やプロデューサーが実現させてくれたのだ。監督は自腹で買ったラッキーピエロのTシャツを着て、交渉に行ったらしい。わたしのイチオシのチャイニーズチキンバーガーもちゃっかり出演。自分の好きな食べものが作品に登場するなんて、愉快だ。