度々旅
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小さい頃からずーっと大切にしている夢って、まあ、誰でもあるでしょう。あたしの場合、あれになりたいとか、これになりたいってものは、何ひとつなかった。もちろん、その時々に描く将来っていうか、夢ってものはあったけれど。 そんなあたしだけれど、唯一、ずーーっと思い続けてきたことがある。それは、銀座和光にて指輪を買ってもらう。 前、一度書いたことがあるかもしれないけれど、小学生の頃親につれていかれた和光で(もちろん買い物に行ったわけではなく見に行っただけだ)、本当に素敵な老夫婦を見た。なんて素敵なの!!って思った。顔は覚えていないけれど、二人よりそって品物を見ていた位置まで覚えている。おじいさんは帽子をかぶってて、おばあさんは白髪だった。 そのときから、私は、絶対に重要な指輪は和光で買ってもらう。そう決めていたのであった。 で、それからかれこれ15年以上経ったでしょうか。とうとう、その願いが叶えられましたですよ。そして50年後には、誕生石の翡翠を手に入れようという次なる夢、もとい野望が今では新しく生まれました。 しかし、和光。もらった通信販売用?なのかな、商品を紹介している月間雑誌。す、すげえ。こういうものを、カタログで見て、あら素敵♪なんて買ってしまう人も、世の中にはいるんだろうなあと思ったら、ため息が出てきた。あの和光の私のようなビンボウ人を寄せ付けない風格。けれど、私にさえ丁重に説明してくれる接客の素晴らしさ。そして日曜はお休み、午後6時に閉店という時代に流されず、客に媚びないそのあり方。いろんな海外ブランドが、簡単に手に入るようになっている中、そうやって変わらず和光が存在し続けていたから、小さいときからの憧れが持続したんだろうなと強く思った。そして、夢を叶えたけれど、やはりまだまだ永遠に憧れの店だなと思ったのであった。
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