度々旅
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2005年07月02日(土) 花嫁と鯱と膿

 万博翌日、熱田神宮に行く。花嫁を見た。ここで先輩が式を挙げたことを思い出す。あれをやりたい。神社の中を花嫁衣裳で歩く。これぞ嫁入りの図。バージンロードを歩いたら大笑いをし、大笑いされそうなあたしでも、厳粛な空気を醸し出せそうだ。しかし、何が理由なのかわからんけれど、あたしが木の写真を撮ってたら、知らないおっちゃんにあそこにヘビがいると教えられ。歩いていたら、今日は土俵入り前の奉納で横綱が来ると教えられ、あたしは雇ってもいないガイドのおっちゃんにいつも話しかけられるお得な人間だ。
 その後、名古屋城に行くものの、鯱がねぇよ。改修中。友人と券売をしている入り口で悩む。今後名古屋に来ることは考えられても、名古屋城まで来るだろうか。電車賃をかけてここまで来て、城内に入らないのはいかがなものか。しかし、鯱はないわけで、やっぱりもう一度来ることになるのだろうか。とダラダラ話し、結局万博チケット持参は100円引きということで入った。そして、城になかなか辿りつけず、ぐるぐる歩いた。そりゃそうだ。地図も見ないで、あっさり門に辿りついたら城は簡単に陥落してしまう。
 その後以前18切符で途中下車したときに食べた店で味噌カツを堪能し、やっぱり味噌カツは少しでいいと同じことを思い、名古屋を去った。
 そして、家に帰るかと思いきや、東京駅から立川へ。飲み会に遅く参加。愛しき院生仲間たち。先生の御本出版お祝いを称しての飲み会。まさかまさか、私にも先生が本をくださるとは。すごく感動した。いや、本当は涙が出そうだった。私が手伝ったことは、資料収集程度だったけれど、授業参加者が皆本をもらっているということを耳にしていたので、自分は卒業してしまいもうそんな身分じゃないとちょっと寂しく思いながら、自分で本を買っていた。それが、いただけた。教え子認定を受けたようで、そして未だ私の場所があるような気分で、なんて愛しい先生なんだろうと思った。
 私にとってこの人たちはなんて素敵な宝物なのだろうと思い、かつてのような会話に安心した。話題はつきず、自分がやっていた学問の楽しみと味わいを思い出す。そして、専門じゃないけれどなんとなくとって、結局最後までこのゼミに参加したことを誇らしく思った。私が入社拒否したとき、先輩がすぐに来週からゼミへ来るように連絡をくれた。私は救われた。私はさして発言もできず、参加しているとは思えないまま過ごしていたので、そんな私でもあのゼミに場所があったのだとすごく大きなモノに包まれた気分だった。
 そういう大切な人達との時間によって、私はこの3ヶ月の間の違和感や不安定さがジワジワと湧いてきてしまった。何が問題で、何が原因かなんてわからないけれど、とにかくすごく疲れていたようだ。仕事をして、資格の勉強を始めて、テキストを読み続ける。外からは順調に見える私の中はじくじく腐り始めていて、膿だらけだった。結局一人の先輩と朝まで一緒にいて、私はその膿を出していた。帰りの電車の中で、なぜか涙がボロボロ出てきて、なんてあたしは恥ずかしいヤツなんだと思ったが、自分のやっていた学問への思いも一緒に溢れてきて、どうしようもなかった。けれど、そんなかつてのような生活を少しだけして、もう少しなんとかやってみれるような気がした。いつの間にか、私にはサークルの仲間以外にも新しい家族ができていたようだ。なんて素敵な家族なんだろう。そして、彼らがいることでどれだけ助けられ、私は生きていられるんだろう。


こげんき |MAILBBS

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