猫頭の毒読書日記
DiaryINDEX|past|will
◎ 2002/02/21(Thu) 09:01
げんじものがたり〜〜〜 _____________________ 藤壺がヒロインであり、紫の上がヒロインでないのはその一点のちがいである。 例えば須磨明石の落魄時代に孤閨を守っていた若く美しい紫の上に対して、 何一つ、誘惑らいし事柄はおこっていないではないか。 継子の夕霧が野分の朝垣間見て思いしみた彼女への恋にしても、 僅かにその死の後にあとに、死に顔の美しさを見させるだけにとどめて、 それ以上深入りさせていない。 作者は紫の上という女性を光源氏の好配として、並べて置くたのしみをうち消さないために、 彼女のまわりに、無法者の立ち入れない魔法の帳をかけわたしたのである。―― ___________________
|